近年、自然災害による被害が各地で増えています。
2025年の夏には、行橋や北九州でも記録的な大雨となりました。
まだ記憶に新しい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
災害への備えに関心が高まる一方で、実際に備えができている方は、まだ多くないようです。
そして、こうした災害とともに起こりやすいのが停電です。
私たちの暮らしに、電気は欠かせません。
その電気が止まったとき、暮らしにはどんなことが起こるのでしょうか。
停電で困りやすいことと、その備えを知っておくだけで、いざというときの安心は変わってきます。
災害や停電への備えの、お手伝いになれたら嬉しいです。

株式会社 林田電気工業
林田竜一
代表取締役
行橋市で電気工事会社を経営しています。お客様ひとりひとりに丁寧に対応し、電気でつなぐ明るい未来をスローガンに地域に貢献できるように努めています。

この地域で停電に備えることは、そのまま台風への備えになります。
行橋市や北九州市、京築エリアは、台風の通り道であると同時に、強風や落雷、海沿いの塩害までが重なりやすい土地です。
停電を「めったにないこと」ではなく「季節ごとに起こりうること」として見ておくと、備えの優先順位が自然と定まります。
まずは、なぜこの地域で停電が起きやすく、そしてなぜ長引きやすいのか。
その仕組みから、一緒に確かめていきましょう。
▶︎参考【気象庁】線状降水帯とは何か
京築を襲った台風と突発停電の実際
台風や突風による大規模停電は、この地域で何度も繰り返されてきました。
気象庁の統計では、福岡県への台風の接近数は全国でも多い方に数えられます。
特に8月から10月にかけては、暴風雨による停電のリスクが高まる時期です。
2020年の台風10号や2022年の台風14号では、九州全域で数十万戸規模の停電が起きました。
福岡県内でも、電柱の傾きや高圧線の断線によって、広い範囲の世帯が影響を受けています。
やっかいなのは、台風の接近時だけではないことです。
前触れのない突風や雷雨で、行橋市や苅田町、みやこ町の多くの世帯が、同時に停電した例もあります。
| 時期の目安 | 主な気象要因 | 地域での特徴 |
|---|---|---|
| 8月〜10月 | 台風 | 暴風による断線・電柱倒壊で広域・長期化 |
| 6月〜7月 | 線状降水帯 | 浸水や土砂で地上設備が水没し復旧遅延 |
| 夏場・突発時 | 突風・落雷 | 過電圧や飛来物での断線、予測が困難 |
台風はある程度身構えられますが、突風や雷は待ってくれません。
だからこそ、季節を問わず少しずつ整えておくことが、いちばんの安心につながります。
▶︎参考【内閣府】令和4年台風第14号による被害状況等について
落雷・線状降水帯・塩害という地域リスク
この地域の停電要因は、台風だけにとどまりません。
夏の積乱雲がもたらす局地的な落雷、梅雨末期に発生しやすい線状降水帯の豪雨、そして海沿いや工業地帯特有の塩害。
これらが、この土地ならではの停電の引き金になります。
なかでも塩害は、少しなじみが薄いかもしれません。
海からの塩分を含んだ細かな粒子が、強い風にのって内陸まで運ばれ、電線や設備に付着します。
その塩分が霧や小雨で湿ると、電気が漏れてショートし、停電につながることがあります。
| リスク | 起こりやすいこと | 時期の傾向 |
|---|---|---|
| 落雷 | 異常電圧による変圧器や家電の焼損 | 夏場や台風接近時 |
| 線状降水帯 | 土砂災害や氾濫での地上設備の水没 | 梅雨末期 |
| 塩害 | 塩分付着による絶縁低下・漏電 | 台風通過後や強風時 |
海に近い暮らしには、海に近いなりの備えがあります。
自宅がどのリスクを抱えやすいかを知っておくだけでも、対策の的が絞れます。
停電が長引く仕組みと復旧の空白期間
停電が長引くのは、被害の連鎖で復旧作業そのものが止まってしまうことが原因となることもあります。
台風や豪雨で倒木や飛来物、土砂崩れが起きると、電柱の折損や電線の断線といった被害が生じます。
さらに道路が寸断されると、電力会社の復旧車両が現場へたどり着けません。
直せる人がいても、現場に入れない。
この「復旧の空白期間」こそが、停電を長引かせる正体です。
国土交通省は無電柱化や道路の啓開を進めていますが、支援が行き渡るまでには、どうしても時間がかかります。
| 長期化の要因 | 家庭に及ぶ影響 | 備えの方向 |
|---|---|---|
| 倒木・飛来物での断線 | 電気の供給が完全に停止 | 予備電源や生活物資の確保 |
| 土砂崩れでの道路寸断 | 復旧車が到着できず遅延 | 数日分の備蓄 |
| 広域での同時被害 | 復旧の人員や資材が不足 | 自助での代替手段づくり |
大切なのは、支援が届くまでの数日間を、家庭でどう乗り切るかという視点です。
その数日を穏やかに過ごせる準備こそが、いちばん頼れる備えになります。

停電で困るのは、暮らしのほとんどが電気に支えられているからです。
停電で困りやすいのは、冷蔵庫、照明、冷暖房、情報、そして調理です。
どれも、毎日の暮らしに欠かせないものばかりです。
この地域の気候と重ね合わせると、どこから備えれば効果的かが見えてきます。
1位:冷蔵庫と冷凍庫が止まる
停電でまず心配になるのが、冷蔵庫や冷凍庫の中身ではないでしょうか。
台風の多い夏の行橋・福岡は、気温も湿度も高く、庫内の温度が上がりやすい環境です。
一般的な目安として、扉を開けなければ、冷凍室はしばらく冷たさを保ちますが、時間とともに解凍が進み、やがて庫内の食材が傷み始めます。
室温が高いほど、この余裕は短くなります。
| 経過の目安 | 庫内の状態 | できること |
|---|---|---|
| 直後〜数時間 | 冷蔵室は冷気を維持(未開閉時) | 扉の開閉を最小限に |
| 半日前後 | 冷蔵室が温まり傷み始め | 傷みやすい物から消費 |
| 一日以降 | 冷凍室の氷が溶け始め | 加熱して食べるか見直し |
日ごろから冷凍室に保冷剤や凍らせたペットボトルを詰めておくと、いざというときの持ちが変わります。
ただし、これはあくまで時間かせぎです。
停電が長引きそうなときは、電源そのものの確保まで見据えておくと安心です。
特に、要冷蔵のお薬や赤ちゃんの離乳食があるご家庭では、早めの備えが大きな支えになります。
2位:照明が消えて部屋が暗くなる
照明が消えると、日中でも部屋が真っ暗になることがあります。
台風の接近時は、飛来物から窓を守るために雨戸やシャッターを閉め切ります。
すると、昼間でも室内は夜のような暗さになります。
夜間はさらに深刻で、街灯も消え、足元が見えずに転んだり、ガラス片でけがをしたりする危険が高まります。
小さなお子さんが、突然の暗闇に不安がることもあります。
| 手段 | 照らせる範囲 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| LEDランタン | 部屋全体を面で照らす | 電池の液漏れを定期点検 |
| 懐中電灯 | 一点を強く照らす | 片手がふさがり周囲を把握しにくい |
| スマホライト | 手元を一時的に照らす | 電池を消費し通信途絶の恐れ |
明かりの備えは、便利さのためだけではありません。
家族が同じ部屋で顔を見合わせられる、その安心のためでもあります。
なお消防庁の案内でも、地震のときのろうそくは、余震での転倒や火災につながるため、できるだけ避けることがすすめられています。
▶︎参考【総務省消防庁】出火防止対策
3位:冷暖房が止まり暑さ寒さが命に関わる
エアコンが止まると、室内の暑さや寒さが、そのまま健康を脅かします。
台風のシーズンは残暑と重なりやすく、窓を閉め切った部屋は、あっという間に温度も湿度も上がります。
夏の停電で暑さを甘く見ると、室内でも熱中症の危険があります。
反対に冬の停電では、暖房が使えず、低体温症が心配になります。
福岡は温暖なイメージがありますが、冬の京築の冷え込みは、決してあなどれません。
| 季節 | リスク | 電気に頼らない対処 |
|---|---|---|
| 夏 | 室温上昇による熱中症 | 冷却タオル、こまめな水分・塩分補給 |
| 冬 | 低体温症 | 重ね着、毛布、使い捨てカイロ |
| 冬 | 暖房器具使用時の事故 | 火災に注意し必ず換気 |
真夏や真冬の停電は、我慢だけで乗り切ろうとすると危険です。
体を冷やす、あるいは温める手段を、季節ごとに用意しておきましょう。
4位:スマホが充電できず情報が途絶える
スマートフォンが使えなくなると、家族の安否も避難情報も分からなくなります。
いまや、家族との連絡、自治体からの避難情報、支払いまでもがスマホ一台に集まっています。
そのバッテリーが切れることは、外の世界とのつながりが断たれることを意味します。
だからこそ、情報の道を確保する備えは、上位の困りごととして見過ごせません。
| 手段 | 役割 | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| モバイルバッテリー | スマホの充電確保 | 家族の人数分を満充電で保管 |
| 電池式ラジオ | 公的な災害情報の受信 | 予備の乾電池を多めに用意 |
| カーラジオ | 車での情報収集 | 長時間はバッテリー上がりに注意 |
不確かな情報に振り回されないためにも、公的な情報を受け取れる手段は複数持っておくと安心です。
充電手段と情報手段を分けて備えておくと、どちらかが尽きても慌てずにすみます。
5位:調理器具が使えず食事に困る
電気が止まると、IHや電子レンジでの調理ができなくなります。
近年はオール電化住宅が増えていますが、熱源を電気だけに頼る住まいは、停電時に弱さを抱えます。
お湯を沸かすことすらむずかしくなり、レトルトの温めも、粉ミルクの調乳も止まってしまいます。
「備蓄はあったのに、温められなくて食べられなかった」。
そんな声が、実際の停電では少なくありません。
| 場面 | 起こること | 電気に頼らない備え |
|---|---|---|
| 湯沸かし | お湯が沸かせない | カセットコンロとガスボンベ |
| 温め調理 | レトルトや冷凍食品を温められない | 加熱不要のローリングストック |
| 調乳・離乳食 | ミルクづくりが困難 | 常温で使える液体ミルク |
カセットコンロを室内で使うときは、一酸化炭素中毒を防ぐため、必ずこまめに換気してください。
なお、IHは大きな電力を必要とするため、一般的なポータブル電源では動かせません。

停電の備えは、事前準備、初動、季節の工夫という順番で進めると迷いません。
先ほどの困りごとは、事前の準備で多くをやわらげられます。
必要なものを、家庭ごとの事情に合わせて過不足なく揃えることが出発点です。
一度に完璧を目指さず、できるところから整えていきましょう。
まず備えたい停電グッズの基本リスト
まずは、明かり・情報・水と食料・トイレという柱を押さえましょう。
手軽に揃うものもありますが、確実に動いてほしいものは、信頼できる製品を選ぶと安心です。
以下を土台に、ご家庭の人数や状況に合わせて足し引きしてみてください。
| アイテム | 主な用途 | 目安 |
|---|---|---|
| LEDランタン | 部屋全体の照明 | 各部屋に一つ |
| 携帯ラジオ | 公的情報の収集 | 一世帯に一つ |
| 携帯トイレ | 断水時の排泄処理 | 一人あたり数日分 |
| モバイルバッテリー | スマホの充電 | 家族の人数分 |
これらは、平時から点検し、すぐ取り出せる場所にまとめておくことが肝心です。
どこに何があるかを家族が知っている。
それだけでも、いざというときの落ち着きが変わります。
▶︎参考【農林水産省】家庭備蓄ポータル
明かりと情報と熱源の必需アイテム
明かり、情報、熱源の三つは、停電時の暮らしを支える背骨です。
LEDランタンは周囲を面で照らすため、家族が集まるリビングでの安心感につながります。
情報源としては、通信が途絶えたときのために電池式ラジオが頼りになります。
熱源としては、季節に応じてカセットコンロや電池式の扇風機を用意しておくと心強いです。
| アイテム | 役割 | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| LEDランタン | 広い範囲の照明確保 | 電池の液漏れを定期点検 |
| 電池式ラジオ | 防災情報の収集 | 予備の乾電池を多めに |
| カセットコンロ | 調理・湯沸かし | 使用中は必ず換気 |
火を使うろうそくは、余震での転倒から火災につながる恐れがあります。
内閣府や消防庁の案内でも、地震時の明かりとしての使用は避けることがすすめられています。
▶︎参考【総務省消防庁】防災マニュアル
水と食料と簡易トイレの備蓄目安
水と食料は、最低3日分、できれば1週間分が目安です。
農林水産省や内閣府の案内でも、この程度の備蓄がすすめられています。
食料は、加熱不要のレトルトや缶詰を、日ごろ食べながら買い足す「ローリングストック」が続けやすい方法です。
| 品目 | 一人あたりの目安 | 3日分の目安 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 一日3リットル | 9リットル |
| 保存食 | 一日3食分 | 9食分 |
| 携帯トイレ | 一日5回分 | 15回分 |
マンションでは、停電と同時に給水ポンプが止まり、断水することがあります。
タンクレストイレも電気で水を流すため、停電時は手動レバーの位置を確かめておくと安心です。
備蓄は、支援が届くまでを自力で過ごすための、暮らしの土台になります。
▶︎参考【農林水産省】ローリングストック
世帯別に見直したい停電の備え
備えの正解は、家族構成によって変わります。
同じ「停電の備え」でも、赤ちゃんがいる家庭と、高齢のご家族がいる家庭では、優先すべきものが違います。
ご自身の家庭に当てはまるところを、重点的に見直してみてください。
| 家庭のタイプ | 特に備えたいこと | ひとこと |
|---|---|---|
| 乳幼児がいる | 液体ミルク、電池式ベビーモニター | 調乳に電気が要らない形を |
| 高齢者・在宅医療 | 要冷蔵薬の保管、医療機器の電源 | 主治医と電力会社へ事前相談を |
| ペットがいる | フードの備蓄、暑さ寒さ対策 | 人と同じ数日分を目安に |
| 車がある | ガソリンを満タン気味に | 車を電源や避難先として活用 |
特に、在宅で医療機器を使うご家庭では、停電が命に直結します。
停電時にどう電源を確保するか、平時のうちに主治医や電力会社へ相談しておくことを、強くおすすめします。
ご家庭ごとの事情に合わせた備えこそが、いちばん実際に役立つ備えです。
車を動く電源として活用する備え
車がある家庭では、車そのものが心強い備えになります。
エンジンをかければ、スマホの充電も、カーラジオでの情報収集もできます。
暑さや寒さがつらいとき、冷暖房のきいた車内は、短時間の避難先にもなります。
| 使い方 | 得られること | 注意したい点 |
|---|---|---|
| スマホの充電 | 情報と連絡手段の確保 | シガーソケット用の充電器を常備 |
| カーラジオ | 公的情報の受信 | エンジン停止中は電池式も併用 |
| 冷暖房の確保 | 一時的に涼む・暖まる | 車内での長時間の睡眠は避ける |
ガソリンは、日ごろから満タン気味にしておくと、いざというときに慌てません。
なお、雪が積もったときにマフラー周りが塞がると、車内に排気が入る恐れがあります。
エンジンをかけたまま過ごすときは、換気とマフラー周りの確認を忘れないでください。
▶︎参考【資源エネルギー庁】災害による停電時にも継続して給油・給電できるSS

停電の直後と復旧時に、いちばん気をつけたいのが通電火災です。
通電火災とは、電気が復旧したときに、倒れた電気ストーブやアイロンなどが再び通電して発火する現象です。
過去の大きな地震でも被害が確認されており、消防庁も注意を呼びかけています。
ですが、正しい手順を知っておけば、通電火災は防げます。
やるべきことは、決してむずかしくありません。
停電直後にやるべき初動対応
停電したら、まず発熱する電気機器のプラグを抜きましょう。
アイロンや電気ストーブ、ドライヤーなど、熱を出す機器がそのままだと、復旧の瞬間に再び動き出して発火する恐れがあります。
避難で家を離れるときや、停電が長引きそうなときは、分電盤の主幹ブレーカーも「切」にします。
| フェーズ | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 停電発生時 | 発熱機器のプラグを抜く | 復旧時の意図しない発火を防ぐ |
| 避難時 | 主幹ブレーカーを落とす | 留守中の通電火災を遮断 |
| 復旧時 | 機器や配線の異常を確認 | 漏電やショートによる発火を防ぐ |
一つずつ落ち着いて行えば、大きな危険を避けられます。
焦げくさいにおいや異音があるときは、無理に触れず、専門の電気工事店に相談してください。
▶︎参考【内閣府】電気火災対策について
プラグとブレーカーの正しい落とし方
プラグは濡れた手で触れず、ブレーカーは手元を照らして確実に操作します。
停電時は室内が暗いため、あわてて操作するとかえって危険です。
懐中電灯やランタンで手元を明るくしてから、落ち着いて進めましょう。
| 手順 | 操作 | 注意 |
|---|---|---|
| 1 機器の遮断 | 発熱機器などのプラグを抜く | 濡れた手で触れない |
| 2 ブレーカー遮断 | 主幹ブレーカーを落とす | 手元を明るくして確実に |
| 3 復旧時の確認 | 配線や機器の異常を点検 | 異常があれば触れず連絡 |
復旧の際に少しでもおかしいと感じたら、ご自身で直そうとしないでください。
無理をしないことが、家と家族を守るいちばんの近道です。
感震ブレーカーという事前の備え
感震ブレーカーは、揺れを感知して自動で電気を止める装置です。
慌てている場面や、家に誰もいないときの通電火災を防いでくれます。
タイプによって、家全体を止めるものと、特定のコンセントだけを止めるものがあります。
| タイプ | 特徴 | 向いている住宅 |
|---|---|---|
| 分電盤タイプ | 家全体の電気を遮断 | 新築や分電盤の交換時期の住宅 |
| コンセントタイプ | 特定のコンセントのみ遮断 | 発熱機器を多く使う部屋 |
| 簡易タイプ | 重りの落下で物理的に遮断 | 手軽に後付けしたい住宅 |
分電盤タイプの設置は、住まいの主配線に関わるため、有資格者による電気工事が必要です。
日本電機工業会(JEMA)では、分電盤の更新時期を13年ほどと案内しています。
交換の機会に、感震機能付きへ切り替えるのも一つの選び方です。
夏の暑さと冬の凍結に備える工夫
季節の停電では、夏は熱中症、冬は凍結への備えが分かれ道になります。
冷房が使えない夏は、カーテンで日差しを遮り、体を濡れタオルで冷やし、水分と塩分をこまめに補いましょう。
冬は、防寒に加えて、住宅設備の凍結にも気をつけたい季節です。
行橋や京築でも、冷え込みでエコキュートなどの配管が凍結し、破損することがあります。
| 季節 | 暑さ寒さ対策 | 設備の注意 |
|---|---|---|
| 夏 | 日差しを遮り冷却タオルを活用 | 室内でも水分・塩分を絶やさない |
| 冬 | 重ね着や毛布で体温を保持 | 配管凍結に備え少量の水を流す |
凍結を防ぐ具体的な方法は、お使いの機器メーカーの案内に従うと確実です。
地域の気候を知ったうえで、平時に一度だけでも手順を確かめておくと、本番で慌てずにすみます。

設備による備えは、停電時の暮らしの質を大きく変えてくれます。
ポータブル電源、太陽光発電、蓄電池、そして電気自動車。
これらは停電時の心強い味方になりますが、それぞれに「できること」と「できないこと」があります。
それぞれの得意なことを知れば、我が家に合った選び方が見えてきます。
ポータブル電源でできることと限界
ポータブル電源は、小型の家電を一時的に動かす補助電源です。
スマホやLED照明、電池式扇風機などを、数時間から一日ほど動かす用途には向いています。
近年は、家庭のコンセントに近い正弦波を出せるモデルや、大容量で安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池のモデルも増えました。
【補足】正弦波とは、家庭のコンセントに近いなめらかな電気の波形で、精密な家電も動かしやすい方式です。
一方で、家全体の電力を賄ったり、大型家電を長く動かしたりすることはできません。
| 機器の例 | 可否の傾向 | ポイント |
|---|---|---|
| スマホ・LED照明 | 長時間の給電が可能 | 消費電力が小さく効率的 |
| 小型冷蔵庫・扇風機 | 容量次第で数時間 | 消費電力と容量の確認が必要 |
| エアコン・IH・エコキュート | 稼働は困難 | 200Vや大出力に対応できない |
普段はキャンプや車中泊で使い、いざというときは家族を支える。
そんな「日常と非常時をまたぐ」使い方ができるのも、ポータブル電源の魅力です。
ただし、過度な期待は禁物です。
あくまで小型機器を一時的に助ける装置と考えておくと、本番で計算違いを起こしません。
容量と起動電力の考え方
選ぶときは、容量だけでなく、出力と起動電力の違いを知っておくと安心です。
モーターやコンプレッサーを積んだ家電は、電源を入れた瞬間に、大きな電力を必要とします。
そのため、容量が足りていても、起動時の電力が上限を超えると止まってしまうことがあります。
| 用語 | 意味 | 確認のコツ |
|---|---|---|
| 容量(Wh) | ためておける電気の量 | 消費電力×使用時間で計算 |
| 定格出力(W) | 安定して出せる電力 | 機器の合計がこれを超えない |
| 起動電力(W) | 始動時に瞬間的に要る電力 | 上限超過で安全装置が働く |
【補足】Whは電気の量、Wは一度に使える電気の大きさを表す単位です。
家庭用の100V機器を中心に考え、200Vの大型機器は動かせない仕様が多い点も覚えておきましょう。
太陽光発電の自立運転と落とし穴
太陽光パネルがあっても、停電時に自動で全部屋へ電気が流れるわけではありません。
屋根に太陽光があるご家庭でも、その電気を停電時に使うには、正しい操作が必要です。
パワーコンディショナを手動で「自立運転モード」に切り替える手順を、平時から知っておきましょう。
【補足】パワーコンディショナは、太陽光の電気を家庭で使える形に変える機器です。
| 手段 | 使える条件 | 制約や注意 |
|---|---|---|
| 太陽光(自立運転) | 昼間で日射がある時間帯 | 専用コンセントのみ、出力に上限 |
| エンジン式発電機 | 燃料があること | 排気ガスのため屋内使用は不可 |
自立運転は、夜間や悪天候の時間帯には使えないという弱点があります。
そのぶん、日中の明かりや情報機器の確保には、大きな助けになります。
▶︎参考【資源エネルギー庁】停電時の住宅用太陽光発電パネルの自立運転機能について
自立運転への切り替えと使える電力
自立運転では、指定された専用コンセントから電気を使えます。
通常の電力網との接続を切り、家庭内だけで電気を使う仕組みです。
そのため、夜間や悪天候のときには電気を取り出せません。
| 手順 | 操作 | 注意 |
|---|---|---|
| 1 主幹ブレーカー遮断 | 主幹ブレーカーを「切」に | 電力網への逆流を防ぐ |
| 2 モード切り替え | パワコンを自立運転へ | 説明書に従い予行演習を |
| 3 専用コンセント使用 | 指定コンセントに接続 | 使用電力の上限(目安1500W)を守る |
医療機器や、途中で切れると困る機器は、自立運転コンセントにはつながないでください。
切り替え手順と専用コンセントの位置は、家族で一度共有しておくと安心です。
逆流配線が招く重大な危険
両端がプラグのケーブルで壁のコンセントに電気を流し込む行為は、行わないでください。
この「逆送電」は、発火や火災、そして電柱で作業する方の感電といった重大な事故につながります。
電気工事士法により、分電盤や固定配線に関わる作業は、有資格者でなければ行えません。
| 危険な行為 | 起こること | なぜ避けるべきか |
|---|---|---|
| 両端プラグでの逆送電 | 発火や屋内配線の過熱火災 | 設備が焼損し住宅火災に直結 |
| ブレーカーを入れたままの逆流 | 高電圧の逆昇圧 | 復旧作業員の感電の恐れ |
配線の工事は自作せず、必ず有資格の電気工事業者へ依頼してください。
安全な形で設備を活かすことが、遠回りに見えていちばんの近道です。
オール電化住宅が抱える停電の弱点
オール電化住宅は、熱源を電気に一本化しているぶん、停電時の備えが特に大切です。
エコキュートやIH、200Vの大型エアコンは、小さな電源では動かせません。
冬にエコキュートの配管が凍結・破損すると、復旧後もお風呂に入れない事態になりかねません。
| 設備 | 停電時に起こること | 備えの方向 |
|---|---|---|
| エコキュート | 給湯停止、冬は凍結の恐れ | タンクの水を活用し凍結を防ぐ |
| IHクッキングヒーター | 調理・湯沸かしが不可 | カセットコンロを用意 |
| 大型エアコン(200V) | 冷暖房が完全に停止 | 季節の対策や蓄電池を検討 |
100Vが中心のポータブル電源では、これらの大電力・200V機器は動かせません。
停電時もこうした設備を使いたい場合は、蓄電池が現実的な選択肢になります。
蓄電池で備える|特定負荷と全負荷の違い
蓄電池を入れれば家中いつも通り、とは限りません。ここが選び方の分かれ道です。
家庭用蓄電池には、停電時に電気を届ける範囲によって「特定負荷型」と「全負荷型」があります。
「蓄電池さえあれば普段どおり」と思われがちですが、実際にはどこまで電気を使えるかがタイプで変わります。
| 型 | 停電時に使える範囲 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特定負荷型 | あらかじめ決めた回路のみ | 電気を絞って長く持たせる |
| 全負荷型 | 家全体の回路(200V含む) | 普段に近い生活を維持しやすい |
どちらが合うかは、家族の暮らし方と、住まいの配線の状況で決まります。
停電時に何を優先して使いたいのか、そこから逆算して選ぶのがおすすめです。
なお、蓄電池には補助制度が用意されている場合があります。
金額や条件は状況によって変わりますので、詳しくはお住まいの自治体の窓口へご確認ください。
特定負荷型が向いている家庭
特定負荷型は、必要最低限を長く持たせたい家庭に向いています。
冷蔵庫や一部の照明など、あらかじめ決めた回路にだけ電気を送ります。
使える範囲は限られますが、そのぶん蓄えた電気を長く使えるのが利点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使える範囲 | 指定した回路のみ |
| 向いている家庭 | 最低限のライフラインで十分 |
| メリット | 電気を絞り長時間もたせやすい |
まずは冷蔵庫と明かり、情報機器を守れれば安心という方に、無理のない選択です。
全負荷型が向いている家庭
全負荷型は、停電時もできるだけ普段の生活を保ちたい家庭に向いています。
エアコンやエコキュート、IHを含む200V機器まで、家中のコンセントを使えます。
オール電化住宅で、停電時も暮らしを落としたくない方に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使える範囲 | 家全体の回路 |
| 向いている家庭 | オール電化で生活水準を保ちたい |
| 注意 | 分電盤の改修と有資格者の施工が必要 |
全負荷型は、機器を置くだけでは動きません。
分電盤の切り替えや配線の工事を伴うため、事前の現場調査と有資格者による設計が欠かせません。
電気自動車とV2Hを活かす備え
電気自動車は、走る乗り物であると同時に、大きな蓄電池でもあります。
V2Hという仕組みを使えば、電気自動車にためた電気を家庭で使えます。
太陽光発電と組み合わせれば、昼に充電し夜に使う形で、数日間の停電にも備えられます。
【補足】V2Hは、電気自動車のバッテリーの電気を家庭で使えるようにする仕組みです。
| 組み合わせ | 得られること | 前提 |
|---|---|---|
| EV+V2H | 車の電気を家庭で活用 | 対応機器の設置工事 |
| EV+太陽光+V2H | 昼に充電し夜に使い数日備える | 日射と設備の連携 |
導入には専用機器の設置と、住まいの配線に合わせた工事が必要です。
だからこそ、車と住まいの両方を見渡せる専門家に相談することが、遠回りをしないコツです。
自動切替とタイムラグの注意点
最近の蓄電池は自動で切り替わりますが、瞬間的な電気の空白があります。
停電を検知してから専用の電気が流れ出すまでに、数秒から30秒ほどのタイムラグが生じます。
そのため、一瞬でも切れると困る機器の常時電源としては、そのまま頼りきれません。
| 項目 | 内容 | ひとこと |
|---|---|---|
| 切替の速さ | 数秒〜30秒のタイムラグ | 無停電電源装置とは別物 |
| 復旧後 | 通常モードへ戻す必要 | 戻し忘れで売電できない例も |
| 表示 | エラー表示が出ることも | 落ち着いて説明書を確認 |
停電が直ったら、蓄電池を通常のモードへ戻すことを忘れないでください。
分からない表示が出たときは、あわてず、施工した業者や説明書で確認しましょう。

設備を安全に活かすには、任せる相手選びが何より大切です。
蓄電池や太陽光、感震ブレーカーの設置は、住まいの安全と寿命を左右します。
信頼できる業者には、いくつかの共通した見分け方があります。
▶︎参考【国民生活センター】家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意
資格と施工品質を見極める基準
分電盤や蓄電池に関わる工事は、国家資格を持つ人が管理・施工する必要があります。
電気工事士や施工管理技士といった資格を持つ人が担うことで、安全が守られます。
無資格の工事は違法であるだけでなく、漏電や火災といった事故につながる恐れがあります。
| 確認項目 | 良い業者の傾向 | 注意したいサイン |
|---|---|---|
| 有資格者の在籍 | 資格を明示し自社で管理・施工 | 施工者が曖昧で丸投げ下請け |
| 法令遵守と登録 | 登録電気工事業者として認可 | 登録番号や資格の記載がない |
「誰が施工するのか」を確認するだけでも、安心の目安になります。
自社の技術と体制に責任を持つ業者ほど、この問いに正面から答えてくれます。
▶︎参考【経済産業省】電気工事士等の資格
地域密着と災害時の駆けつけ対応
災害時は、近くて土地の事情に詳しい業者ほど、早く駆けつけてくれます。
広域停電では、道路の寸断などで、遠方の業者は対応が遅れがちです。
地域の実情を知り、すぐに動ける業者は、災害時の大きな安心材料になります。
| 観点 | 確認方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 対応エリアと速さ | 近隣に拠点があり緊急体制がある | 施工は遠方の別会社という体制 |
| 地域への貢献 | 公共施設などの施工実績がある | 訪問販売で突然現れる業者 |
台風の経路や沿岸部の塩害を理解している業者は、その土地に合った設備と施工を提案できます。
長く付き合える相手かどうかも、選ぶときの大切な視点です。
▶︎参考【国民生活センター】突然訪問されて太陽光発電設備と家庭用蓄電池を契約した
現地調査と見積もりとアフター対応
契約前の丁寧な調査と、施工後のサポート体制が、良い業者を見分ける目安です。
国民生活センターでも、十分な説明や調査をせずに契約を急がせる訪問販売への注意が呼びかけられています。
安心して任せられるかどうかは、契約前の対応によく表れます。
| 確認項目 | 良い対応 | 避けたい対応 |
|---|---|---|
| 現地調査の質 | 分電盤や配線を念入りに確認 | 現場を見ずに契約を迫る |
| 見積もりの明瞭さ | 項目ごとに内容が明確 | 一式などの不明瞭な記載 |
| アフターと制度知識 | 点検や保証があり相談に乗れる | 工事を急かし説明が不十分 |
設備は、設置して終わりではありません。
長く安全に使い続けるためのパートナーとして、総合的な信頼で選ぶことが大切です。
▶︎参考【国民生活センター】家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意

停電への備えは、特別なご家庭だけのものではありません。
この地域が抱える台風や突風、塩害といった特徴を知り、停電は起こりうるものとして向き合うことが、はじめの一歩になります。
まずは、明かりと情報、水と食料といった自助の初動を整える。
次に、通電火災を防ぐブレーカーの操作など、家族の命を守る知識を分かち合う。
そして、より長い停電にも耐えられるよう、蓄電池や太陽光、電気自動車といった住まいの設備を、少しずつ検討していく。
こうした備えは、いざというときに在宅で過ごすという、心強い選択肢をご家族にもたらしてくれます。
まずは、行橋市や北九州市、気象庁が公表しているハザードマップや防災情報から、ご自宅のリスクを確かめてみてください。
もし住まいの電気設備に不安があるときや、より進んだ停電対策を考えたいときには、株式会社林田電気工業のように、地域で気軽に相談できる電気の専門家が身近にいることも、暮らしを支える安心のひとつです。
点検やご相談は無料で承っています。
停電の不安を、家族を守る確かな安心へと、一緒に変えていきましょう。
▶︎参考【行橋市】災害時の避難について
半世紀の歴史!
福岡県行橋市の電気会社
林田電気工業

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