避雷針と落雷対策|激しい雷から家と店舗を守る基礎知識

空が割れるような轟音と、窓を白く染めるほどの閃光。

スマホに届く「記録的短時間大雨情報」の通知を見て、「昔の夕立とは何かが違う」と感じている方も多いのではないでしょうか。

気象庁の観測データによると、福岡県の年間雷日数は平均約22日にも上ります。

近年は大気の不安定化により局地的な落雷が増え、2024年夏には西日本全域で記録的な大雨と激しい落雷が相次いで報告されました。

そうした落雷が引き起こす二次被害のひとつが、「雷サージ」です。

電線を伝って屋内に流れ込む数万ボルト規模の電気の衝撃波は、家電の基板を一瞬で焼き、パソコンのデータを失わせることがあります。

避雷針や避雷設備は、この衝撃波を安全に地面へ逃がす「専用の抜け道」を建物につくる設備です。

この記事では、設備のしくみと選び方、工事の法的な根拠、費用の目安と補助金情報まで、電気の知識がなくても分かるよう順を追ってご説明します。

備えたいけれど、何から調べればいいか分からない。そんな方にこそ、この記事が役に立てれば幸いです。

この記事の監修者

株式会社 林田電気工業

林田竜一

代表取締役

1級電気工事施工管理技士

行橋市で電気工事会社を経営しています。お客様ひとりひとりに丁寧に対応し、電気でつなぐ明るい未来をスローガンに地域に貢献できるように努めています。

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落雷対策の仕組みとメリット|設置で得られる毎日の安心感

避雷設備を設置すると、暮らしの何が変わるのでしょうか。

「大げさな工事をしてまで必要なのか」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、雷による被害は「直撃」だけではありません。

電源線だけでなく、通信線やアンテナ線からも屋内に侵入する雷サージは、目に見えないまま家電の基板を壊し、電気火災の原因にもなります。

こうした被害は決して珍しくなく、総務省消防庁の「消防白書」でも、電気機器を原因とする火災は毎年数千件規模で報告されています。

避雷設備(避雷針や避雷器など)は、雷のエネルギーを建物に影響が出ないよう安全に地面へ逃がす道筋をつくります。

雷が鳴るたびにテレビやパソコンの電源を慌てて抜く、という習慣から解放される方も少なくないでしょう。

店舗や事務所であれば、レジのデータ消失や通信障害による営業停止リスクを減らせる可能性もあります。

「備えがある」という事実は、激しい雷雨の夜も落ち着いて過ごせる、静かな納得感につながります。

ここでは、避雷設備の具体的なしくみと種類について、順を追ってご説明します。

参考:
【総務省消防庁】消防白書

雷を逃がす仕組み|大切な家電の故障を防ぐ備え

避雷設備のしくみを知ると、「なぜ工事が必要なのか」への納得感が生まれます。

難しい話ではありませんので、日常の言葉に置き換えながら見ていきましょう。

項目説明
雷サージとは落雷の際に電線・通信線を伝って屋内に流れ込む、数万ボルトに及ぶこともある電気の衝撃波
外部雷保護(避雷針)屋根の上で雷を意図的に受け止め、専用の導線を通して安全に地面へ逃がす設備
内部雷保護(避雷器)電線や通信線から侵入するサージを瞬時に抑え込み、安全な通り道へ逃がす屋内側の設備
接地(アース)地下に埋設した電極を通して、雷のエネルギーを大地へ帰すための工事

雷から建物を守る仕組みは、「外側」と「内側」の2段階に分かれています。

「外部雷保護」は、屋根の上の避雷針が雷を引き受け、導線を伝って地面へ流す役割を担います。

建物全体に「雷の安全な逃げ道」を用意するイメージです。

ただし、避雷針だけでは防ぎきれない経路があります。

電源線はもちろん、インターネット回線やアンテナ線など、外部とつながるすべての線が侵入口になりえます。

そこで「内部雷保護」、つまり避雷器(SPD)が必要になります。

分電盤や重要なコンセント付近に取り付け、侵入してきたサージを瞬時に抑え込んで安全に逃がします。

外側と内側、両方が揃ってはじめて建物全体を包括的に守ることができます。

避雷針の種類と特徴|建物や環境に合わせた優しい選び方

避雷針にはいくつかの種類があり、建物の形や用途によって最適なものが異なります。

「どれを選べばいいか分からない」という方がほとんどですが、基本的な違いを知っておくだけで、専門家との相談がぐっとスムーズになるでしょう。

種類特徴主な設置対象
突針型(フランクリン型)最も普及している標準的な形式。屋根の最上部で雷を受け止め、導線を通して地面へ逃がす一般戸建て住宅・小規模店舗・一般的なビル
棟上導体型屋根の棟に沿って導体を配置する方式。外観を損ねにくく、広い屋根面を効率よくカバーできる工場・倉庫・大型施設
PDCE型(落雷抑制型)「お迎え放電」を抑制して落雷そのものを防ぐ新型設備。直撃時の大電流による機器への影響を最小限にできるデータセンター・病院・精密機械工場

最も広く使われているのが、突針型(フランクリン型)です。

JIS規格(JIS A 4201)でも基本の受雷部として定義されており、施工実績が豊富で費用を抑えやすい点が、一般住宅に選ばれる大きな理由です。

屋根が広い工場や倉庫には、棟に沿って導体を配置する「棟上導体型」が適しています。

保護範囲を柔軟に設計できるうえ、建物の外観への影響が少ない点も評価されています。

病院やデータセンターのように、一瞬の停電や電圧変動も許されない施設には、PDCE型という選択肢があります。

従来の「雷を呼んで逃がす」発想とは異なり、落雷そのものを抑制するという画期的な技術です。

なお、建築基準法では高さ20メートルを超える建築物への避雷設備設置が義務付けられており、建物の高さや重要度に応じた保護レベルの選定が求められています(出典:建築基準法 第129条の14)。

「どれが合うか」の判断は、建物の形状・周辺環境・用途を現地で確認した上で行うのが確実です。

参考:
【経済産業省】避雷装置の技術基準を定める告示の改正について
【建築基準法 第129条の14】避雷設備

導入後の暮らしの変化|急な雷鳴でも慌てない心強い環境

避雷設備を整えると、雷が鳴るたびに感じていた「あの緊張感」が変わります。

目に見えない変化ではありますが、日常の中で少しずつ実感できるものです。

場面導入前導入後
自宅での雷雨テレビ・パソコンの電源を慌てて抜くほとんどのケースで、慌てて抜く手間がなくなる
就寝中の落雷家電の故障が気になり目が覚める備えがある安心感で休める
店舗・事務所レジやサーバーの停止リスクに不安BCP対策の一環として営業継続への備えが整う

雷が鳴るたびに家中のコンセントを抜いて回る、という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

適切に設置された避雷器(SPD)は侵入した過電圧を安全なレベルまで抑制するため、ほとんどのケースで、手動でプラグを抜く必要性がなくなります。

雷サージによる家電の故障は、マイクロ秒単位で発生します。

気づいたときにはすでに基板が壊れており、修理不能な場合も少なくありません。

事前の備えが、高額な修理費や買い替え費用を未然に防ぐ唯一の確実な手段といえるでしょう。

店舗や事務所にとっては、POSレジやルーターの停止がその日の売上に直結します。

BCP(事業継続計画)対策の一環として、避雷設備を位置づける事業者も増えています。

なお、設備は設置後も定期的な点検を合わせることで、より長く確実に効果を保つことができます。

一度の工事で得た備えを、点検によって守り続けていく。そうした積み重ねが、毎年の雷シーズンを落ち着いて迎えられる土台になります。

古い避雷針の注意点|今の激しい気象に対応できるかの確認方法

「設置してから何年も経つけれど、まだ大丈夫だろうか」と感じている方もいるのではないでしょうか。

避雷設備は屋外の過酷な環境にさらされ続ける設備です。

紫外線・強風・酸性雨・温度変化が長年にわたって金属部品や導線を少しずつ傷め、一般的な更新の目安は15〜20年とされています。

10年を超えたら、一度専門的な診断を受けておくのが安心でしょう。

特に福岡県の沿岸部は、周防灘・響灘・玄界灘から運ばれる潮風の影響を受けやすい地域です。

塩害は金属の腐食を内陸部の数倍のスピードで進める場合があり、設備の劣化が早まる傾向があります。

さらに見落とされがちなのが、地下に埋設された接地極(アース棒)の劣化です。

土中の水分や成分によって電食・酸化が進み、雷を逃がす効率が徐々に悪化していきます。

地下にあるため、見た目では劣化にまったく気づけない点が、この部分の厄介なところです。

JIS規格(JIS A 4201)では、目視だけでなく接地抵抗の測定を含む年1回以上の点検が定められています。

専門家が計測器を使って行う診断こそが、本当の安心につながります。

ここでは、設備の状態を確認するためのポイントと、相談すべきタイミングの目安をご説明します。

既存設備の見直し|サビや線の切れなど目視でできるチェック

「専門家に頼む前に、自分でも何か確認できることはないだろうか」と思う方もいるでしょう。

安全な範囲であれば、いくつかのポイントを地上から目視で確認することができます。

チェック項目確認方法の目安注意サイン
突針部分(屋根の上)双眼鏡を使って地上から見上げる極端なサビ・変形・傾き
引下げ導線(外壁)地上から目視で追う断線・著しい腐食・固定具の外れ
導線の接続部分外壁沿いに接続箇所を確認緑青(青サビ)・接続の緩み
外壁貫通部分導線が壁を通る箇所を確認コーキングの割れ・剥がれ

まず大前提として、屋根に登っての確認は絶対に行わないでください。

転落事故のリスクが非常に高いため、無理のない範囲で、地上から安全第一で確認することが重要です。

屋根上の状態は必ず双眼鏡を使って地上から見上げてください。

地上から比較的チェックしやすいのが、外壁を伝う引下げ導線です。

断線や著しい腐食、固定具の外れが見られる場合は、専門家への相談をご検討ください。

導線の接続部分に青サビ(緑青)が出ているときは注意が必要です。

接続部での緑青は接触抵抗を増大させ、雷電流がスムーズに流れなくなる恐れがあります。サビによって電気の通り道が狭くなっているサインと考えてください。

外壁貫通部分のコーキング(防水材)の割れも見逃せません。

劣化したまま放置すると、雨水が建物内部に浸入し、構造体の腐食につながる実害に直結します。

目視チェックはあくまで「異常に気づくための第一歩」です。

設備が正常に機能しているかどうかは、接地抵抗計による測定など専門的な計測でなければ判断できません。JIS規格(JIS A 4201)でも定期的な測定が推奨されています。

「気になる箇所が見つかった」「設置から10年以上経過している」という場合は、専門家による点検を検討するタイミングといえるでしょう。

参考:
【国土交通省】計画修繕ガイドブック

耐用年数と交換時期の目安|経年劣化がもたらす影響

「いつ交換すればいいのか分からない」という声はよく聞かれます。

目安となる数字を知っておくだけで、漠然とした不安が具体的な行動計画に変わります。

項目目安備考
法定耐用年数15年減価償却資産の耐用年数等に関する省令に基づく
専門家による詳細点検設置後10年を目安に沿岸部など塩害環境では早めの対応が安心
定期点検の推奨頻度年1回以上(雷シーズン前が特に有効)JIS A 4201に基づく推奨頻度
接地抵抗の基準値10Ω(オーム)以下電気設備技術基準の解釈(経済産業省)に基づく

避雷設備の法定耐用年数は「15年」と定められています(出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令・財務省)。

税務上の基準ではありますが、実務上も設備の更新を検討する有力な指標となっています。

ただし、15年はあくまで標準的な環境を前提とした数値です。

周防灘・響灘・玄界灘に面した福岡県の沿岸部は、国土交通省の区分でも「塩害地域」に該当し、金属腐食の進行が早い地域です。

設置から10年を超えたら、早めに専門家による診断を受けておくのが安心でしょう。

判断の基準となるのが「接地抵抗値」です。

雷のエネルギーがどれだけスムーズに地面へ逃げていくかを示すこの数値は、10Ω以下が基準とされています(出典:電気設備技術基準の解釈・経済産業省)。

接地抵抗は微弱な電流を流して測定する特殊な項目のため、専用の接地抵抗計でなければ測定できません。目視だけでの判断に限界がある理由がここにあります。

「古いから全部交換」という提案が、必ずしも誠実とは限りません。

地下の接地極が健全であれば、上部の部品だけ交換できるケースもあります。

現状を正確に計測した上で、必要な箇所だけを適切に対処する。それが信頼できる専門家の姿勢です。

参考:
【財務省】減価償却資産の耐用年数等に関する省令

専門家による精密点検|今の基準に合わせた無理のない提案

目視チェックで異常が見つからなくても、設備の本当の状態は計測してみなければ分かりません。

専門家による点検では、目に見えない部分まで数値で確認することができます。

点検項目内容使用する機器・基準
接地抵抗の測定雷を地面へ逃がす能力を数値で確認接地抵抗計/10Ω以下が基準
導線・接続部の確認腐食・断線・固定具の緩みを専門的に診断目視+触診
突針・受雷部の状態確認変形・腐食・取付強度を高所作業で確認専門器具による高所点検
避雷器(SPD)の動作確認過去の落雷による消耗・劣化を確認専用テスター

点検の中心となるのが、接地抵抗の測定です。

専用の接地抵抗計を使い、雷のエネルギーが地面へスムーズに逃げているかを数値で証明します。

この測定結果が基準値(10Ω以下)を満たしていなければ、工事は完了とみなされません。

点検の結果、状態が良好であれば「現状維持で問題なし」とお伝えすることも十分あります。

「古いから全交換」ではなく、使える部分はそのまま活かす。それが誠実な専門家の提案です。

避雷器(SPD)は過去の落雷のたびに少しずつ消耗するため、外見上は正常でも内部が劣化しているケースがあります。

建物全体を守る設備として、屋外の避雷針と屋内の避雷器を合わせて診断することが、より確かな安心につながります。

避雷針の電気工事|今の建物に新設・後付けするための手順

「後付けで設置できるのだろうか」「工事で建物を傷めないか心配」という声はよく聞かれます。

既存の建物への後付け設置は、十分に可能です。

建物の構造(鉄筋・木造など)に合わせた最適なルートを選べるため、さまざまな建物に対応できます。

工事には、屋根上への受雷部の取り付け、外壁に沿った導線の配線、地下への接地極の埋設まで、JIS A 4201で定められた一連の工程が含まれます。

なかでも接地工事(アース工事)は、電気工事士法第3条により、国家資格を持つ技術者でなければ従事できないと定められています(出典:経済産業省・電気工事士法)。

無資格者による施工は法令違反となるだけでなく、火災保険の適用外になるリスクもあります。

資格を持つ専門家への依頼が、安全な施工の絶対条件です。

支持金物や導線の貫通部は雨水の侵入経路になりやすいため、防水処理(コーキング)と建物の外壁材に合わせた配線ルートの設計も、欠かせない工程のひとつです。

「工事で建物が傷まないか」という不安に、丁寧な施工で応えることが専門家の責任といえるでしょう。

参考:
【経済産業省】電気工事の安全

必要な電気工事の資格|安全に雷を地面へ逃がす確かな技術

避雷針の設置工事は、見た目以上に専門的な知識と資格が求められる作業です。

なかでも接地工事(アース工事)は、法律によって有資格者にしか認められていない工程です。

資格・法令内容根拠
第一種電気工事士工場・ビルなど自家用電気工作物(500kW未満)の工事に従事できる電気工事士法第3条
第二種電気工事士一般住宅・小規模店舗など600V以下の電気工事に従事できる電気工事士法第3条
接地工事(アース工事)接地線の接続・接地極の埋設は無資格では行えない電気工事士法施行規則第2条

電気工事士法施行規則第2条では、「接地線を接地極に接続する作業」および「接地極を地面に埋設する作業」は、軽微な工事から明確に除外されています。

どれほど簡単に見えても、接地工事は国家資格を持つ技術者でなければ法律上行えません(出典:経済産業省・電気工事士法施行規則)。

無資格者による施工は法令違反となり、万が一の事故の際にご家族や資産を守るための火災保険が機能しなくなる恐れもあります。

戸建て住宅であれば第二種電気工事士、ビルや大規模店舗であれば第一種電気工事士の資格が必要です。

依頼先を選ぶ際は、資格の有無を最初に確認することが大切です。

「有資格者が在籍しているか」「地域での施工実績があるか」の2点が、信頼できる専門家を見極める基準になるでしょう。

戸建てや店舗への導入|建物を傷めない丁寧な取り付け

後付け工事と聞くと、建物へのダメージを心配される方が多いものです。

JIS A 4201に基づいた設計・施工により、既存の建物への影響を最小限に抑えることができます。

気になるポイント実際の対応
屋根への固定建物の構造に合わせた支持金物を使用。国土交通省の標準仕様に準じた防水処理を施す
外壁への配線雨どいに沿わせたり、外壁色に近い保護管を使用するなど美観に配慮したルートを選定
雨漏りのリスク貫通部への止水処理を徹底。コーキングは10年前後での打ち直しが長期維持のポイント
既存設備との共存太陽光パネルは等電位ボンディングで接続し、適切な離隔距離を保ちながら設置可能

屋根への固定箇所には、国土交通省の公共建築工事標準仕様書に準じた防水処理を施します。

適切な止水処理を行えば、雨漏りの心配はほとんどの場合で解消できます。

外壁の配線は露出が基本ですが、雨どいに沿わせたり、外壁色に近い保護管を使ったりすることで、見た目への影響を抑えられます。

太陽光パネルがある場合は、パネルの架台と避雷設備を等電位ボンディング(同じ電位に接続すること)で結び、適切な離隔距離を保つことで、既存設備を守りながらの設置が可能です。

太陽光パネルは雷の影響を受けやすいため、避雷設備とのセット対応が特に推奨されます。

建物の現状をしっかり把握した上で、一件一件に合った工事計画を立てることが、安心への近道といえるでしょう。

実際の作業内容|屋外の設置から室内のコンセント対策まで

避雷針の工事は、屋根の上だけで完結するものではありません。

建物全体を守るためには、屋外と屋内の両方にわたる工程が必要です。

工程作業内容専門性のポイント
1.受雷部の設置屋根の最上部に突針を固定。防水処理を丁寧に施す高所作業・建物構造への理解が必要
2.引下げ導線の配線外壁に沿って地面まで導線を引き下ろす外壁材に合わせたルート設計が重要
3.接地極の埋設地下にアース棒を打ち込み、規定の深さまで埋設する電気工事士資格が必須の工程
4.避雷器(SPD)の設置分電盤や重要コンセントに避雷器を取り付ける屋内への雷サージ侵入を防ぐ内部対策
5.接地抵抗の測定専用の計測器で抵抗値が10Ω以下であることを確認基準値を満たさなければ工事は完了しない

工事は「外部雷保護」と「内部雷保護」の2段階で構成されます(JIS A 4201/JIS C 5381)。

屋根上への突針の固定から始まり、外壁に沿って導線を引き下ろし、地下にアース棒を埋設するまでが外部の工程です。

地下への埋設は電気工事士の資格が必須であり、落雷時の巨大なエネルギーに耐えられる導線を確実に接続する技術が求められます。

屋外の工程が終わったら、次は屋内の対策です。

分電盤(お家全体の電気の入り口)への避雷器(SPD)の設置が、最も効率よく家全体を守れる方法です。

電源線や通信線から侵入する雷サージをここで抑制することで、外部の避雷針では防ぎきれない経路もカバーできます。

最後に接地抵抗計で抵抗値を測定し、10Ω以下であることを数値で確認します。

抵抗値が低いほど雷のエネルギーが地面へ吸い込まれやすくなるため、この数値が工事の品質を証明します。

完了後は測定結果の報告書を受け取り、施工の記録として保管しておくことをお勧めします。

費用相場と導入の流れ|初めての方でも分かりやすい日程表

いざ導入を検討しようとしたとき、費用感や手順が分からないと、なかなか一歩が踏み出しにくいものです。

避雷設備の工事費用は、建物の規模や採用する設備の種類によって大きく異なります。

費用を左右する主な要素は、建物の高さ・屋根の形状・地面の土質の3点です。

特に土質は見落とされがちですが、電気の逃げにくい土壌では接地極を増やす必要があり、工事費に直結します。

見積もり段階で現状の接地抵抗を測ってくれる業者は、信頼性が高いといえます。

図面だけでは判断できない地下の状況や配線ルートを、実測に基づいて設計することが安全性の担保につながります。

屋根工事や外壁工事と同時に依頼できるタイミングがあれば、足場などの共通仮設費用を分担でき、実質的な負担を抑えられる可能性があります。

依頼から完了までの流れはシンプルで、生活リズムや店舗の営業時間に配慮しながら進めることができます。

設置や交換にかかる費用|一般的な価格の目安

工事費用に影響する要素を事前に把握しておくと、見積もりの内容も確認しやすくなります。

費用に影響する要素具体的な内容
建物の高さ・規模高くなるほど高所作業車や仮設足場の範囲が増え、作業員の安全確保費用も加わる
屋根の形状・素材勾配や素材によって固定方法が変わり、工事の手間に差が出る
地面の土質岩盤や乾燥した砂地など電気の逃げにくい土壌では、接地極を深く埋めたり増設が必要になる
設備の種類突針型・棟上導体型・PDCE型など、選ぶ設備によって機器代が異なる
既存設備の状態交換の場合、撤去・処分費用が加わるケースがある

特に土質は目に見えない要素ですが、地下の大地抵抗率が高いと基準値(10Ω以下)を達成するために工事内容が増え、費用に直結します。

見積もりを取る際に確認しておきたいのが、接地抵抗の測定費用が含まれているかどうかです。

JIS A 4201でも測定と記録が義務付けられており、工事完了後に「接地抵抗測定報告書」を正式な書類として受け取ることが、安心の証拠になります。

屋根工事や外壁工事と同時に依頼できるタイミングがあれば、足場などの共通仮設費用を分担でき、実質的な負担を抑えられる可能性があります。

足場代は工事費の中でも大きな割合を占めるため、まとめて依頼できる機会は費用面でも合理的な選択です。

交換工事の場合は、接続部を含む総合的な診断を行った上で、健全な部分は残し、劣化した箇所だけを対処するのが誠実な対応といえます。

ご相談から完了まで|日常生活に負担をかけない手順

工事の流れが事前に分かっていると、依頼へのハードルがぐっと下がります。

問い合わせから完了まで、無理のないステップで進めることができます。

ステップ内容所要時間の目安
1.問い合わせ・相談気になる点や建物の状況を伝える。電話・メールどちらでも可当日〜数日
2.現地調査建物の構造・屋根の形状・土質などを専門家が確認。接地抵抗の測定も実施1〜2時間程度
3.見積もり提示調査結果をもとに工事内容と費用を提示。納得できるまで相談可数日〜1週間程度
4.施工高所作業・配線・接地極の埋設など。天候や営業時間への配慮も可能通常1〜2日程度
5.接地抵抗の測定・完了基準値(10Ω以下)を計測器で確認。測定報告書を発行施工当日

現地調査の段階で接地抵抗の測定を行ってくれる業者は、工事後のトラブルを未然に防ぐ姿勢の表れです。

施工は、一般的な戸建て住宅であれば通常1〜2日程度で完了します。

ただし天候によって工程が前後することもあるため、余裕を持ったスケジュールで計画するのが安心です。

店舗や事務所の場合は、営業時間外や定休日に合わせた工程調整も可能です。

工事完了後に発行される「接地抵抗測定報告書」は、将来のメンテナンスや火災保険の確認資料としても活用できます。

大切に保管しておくことをお勧めします。

避雷針で異常気象への備え|家族と事業を守る安心な暮らし

昔と比べて、夏の雷が激しくなったと感じる方は多いのではないでしょうか。

大気の不安定化により、局地的な落雷はかつてない規模で発生するようになっています。

この記事では、避雷設備のしくみと種類、古い設備の確認方法、工事の内容と流れについてお伝えしてきました。

最後に、大切なことをひとつだけお伝えします。

避雷設備への投資は、単なる出費ではありません。

家族の安全、大切な家電や事業設備、そして日々の暮らしの継続を守るための、未来への備えです。

設備の法定耐用年数は15年。接地抵抗10Ω以下という数値による品質の証明。電気工事士法が定める厳格な施工基準。

これらすべてが、専門家に任せることの意味を物語っています。

「うちの設備、そろそろ気になってきた」という方も、「まだ大丈夫かな」と思いながらも気になっている方も、今すぐ大きな決断をする必要はありません。

まずは現状を知ることから始められます。

行橋で52年、電気で街を照らし続けてきた林田電気工業では、九州の厳しい気候を知り尽くした国家資格を持つスタッフが、一件一件丁寧に対応します。

無理なご提案はいたしません。

点検のご相談だけでも、ぜひお気軽にお声がけください。

皆さまの暮らしと大切な財産を守るお手伝いができれば、幸いです。

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