業務用エアコン工事業者の選び方のポイント|工事の手順と種類を解説

業務用エアコンの導入は、職場の環境を整えてくれます。

効率的な空調管理を行うことで作業パフォーマンスの向上も期待できます。

また、適した業務用エアコンを導入することで電気代などのコスト削減にも繋がります。

業務用エアコンと一口に言ってもさまざまな種類があります。

この記事では業務用エアコンの基本・種類・工事の流れをわかりやすくご説明します。

業務用エアコンの工事業者の選び方のポイントも合わせて解説。

業務エアコンを導入する際のサポートとなれば幸いです。

この記事の監修者

株式会社 林田電気工業

林田竜一

代表取締役

1級電気工事施工管理技士

行橋市で電気工事会社を経営しています。お客様ひとりひとりに丁寧に対応し、電気でつなぐ明るい未来をスローガンに地域に貢献できるように努めています。

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家庭用エアコンと業務用エアコン徹底比較!

業務用エアコンと聞いてもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。

どんなものかわからない

家庭用エアコンとどう違うの?

そんな疑問を抱かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

業務用エアコンと家庭用エアコンは、設置する場所や設置する方法、機能など様々な違いがあります。

選び方を間違えると快適に過ごせないだけではなく、余計なコストがかかってしまう場合も。

業務用エアコン

パナソニック社

業務用エアコンは、オフィス、飲食店、商業施設、工場などの広い空間に特化して設計されています。

これらの場所では、一般家庭よりも広範囲の空間を効率的に冷暖房する必要があります。

そのため、業務用エアコンは大きな出力と高い冷暖房能力を持っています。

これにより、広いエリアでも均一な温度を保ち快適な環境を整えることが可能になります。

業務用エアコンの種類には、天井埋め込み型、天井吊型、床置型、壁掛型などがあり、それぞれの設置場所や用途に応じて選ばれます。

例えば、天井埋め込み型や天井吊型は、空間を有効に活用しながら広範囲をカバーするのに適しています。また、これらのエアコンは、一台の室外機に複数の室内機を接続できるため、大規模な施設でも効率的な空調管理が可能です。

家庭用エアコン

パナソニック社

家庭用エアコンは、一般家庭での使用を目的としており、主に個々の部屋の空調を整えるために設計されています。

一般的には、壁掛け型のルームエアコンが最も一般的で、リビングルーム、寝室、子供部屋など、限られた空間の冷暖房に適しています。

これらのエアコンは、コンパクトなサイズで、インテリアに溶け込むデザインが多く見られます。

家庭用エアコンの中には、天井や壁に埋め込むタイプもあり、これらはハウジングエアコンとも呼ばれます。

埋め込み型エアコンは、見た目をスッキリさせたいと考えるユーザーに適しており、インテリアデザインを損なわずに空調を整えることができます。

また、家庭用エアコンは通常、室外機と室内機が一対一で設置され、各部屋ごとに独立した温度設定が可能です。

家庭用エアコンの機能には、除湿、空気清浄、自動温度調節などがあり、快適な室内環境を提供するための多様なオプションが備わっています。

近年では、省エネ性能に優れたモデルや、スマートフォンと連携して遠隔操作ができるような高機能なエアコンも登場しています。

業務用エアコンと家庭用エアコンの違い

画像引用:パナソニック社
特徴業務用エアコン家庭用エアコン
冷暖房能力高い冷暖房能力、広い空間対応限定的な冷暖房能力、小規模空間用
サイズとデザイン大型、多様な設置タイプ(天井埋め込み型、天井吊型など)コンパクト、主に壁掛け型
電源と電圧三相200V使用単相100/200V使用
電気料金や契約内容「動力」または「高圧」契約、複雑な契約内容「電灯」(従量電灯)契約が一般的
室内外機の組み合わせ1台の室外機に複数の室内機接続可能室外機と室内機が一対一で設置
工事内容と設置の複雑さ専門的な工事が必要、設置が複雑比較的簡単に設置可能
使用目的と適用範囲オフィス、商業施設、工場などの広い空間用住宅や小規模オフィスなどの限られた空間用

業務用エアコンと家庭用エアコンは下記に対して大きな違いがあります。

  • 冷暖房能力
  • 電源、電圧
  • 電気料金契約
  • 室内外機の組み合わせ
  • 工事内容

業務用エアコンは、一般的に家庭用エアコンよりも高い馬力(最大7kw程度)を持ち、広い空間に対応しています。

広い空間に対応できる冷暖房能力を持っているのが業務用エアコンです。

電源では、家庭用が単相100/200Vを使用するのに対し、業務用は主に三相200Vを使用し、より多くの電力を送電できます。

ただし、状況に応じて単相200Vを使用する業務用エアコンもあります。

電気契約では、家庭用は「電灯」契約が一般的です。

業務用は「動力」または「高圧」契約が必要で、契約内容が複雑です。

室内外機の組み合わせでは、家庭用は一対一の設置が一般的です。

業務用は1台の室外機に複数の室内機を接続できます。

そのため、部屋毎に設定をかえることができるなどの、温度設定の柔軟性があります。

家庭用のエアコンは比較的設置が簡単なため、家電量販店などでも工事を依頼することが可能です。

取り付け工事にかかる時間も1時間半から2時間が目安とされています。

業務用のエアコンは機能や必要電力の多さをみてもわかる様に、工事も複雑。

フロンガスの回収を行っている業者が行う必要もあります。

(参考*環境省|フロン排出抑制法 https://www.env.go.jp/earth/furon/ )

天井への埋め込みや専門の管工事が必要となります。

家庭用エアコンでもカバーできる広さであっても、使用方法や運用時間によっては業務用エアコンの方が光熱費などのランニングコストを抑えることができる場合もあります。

業務用として運用を検討している場合は、専門業者に一度相談されることをおすすめします。

業務用エアコンの種類と特徴

業務用エアコンは、その設置環境や用途に応じて多様なタイプが存在します。

それぞれ異なる馬力(エアコンの能力を示す単位で、Kwで表される)を持っています。

以下で、各タイプの詳細と一般的な馬力範囲について説明します。

天井カセット型

天井カセット型エアコンは、オフィスや店舗の天井に埋め込む形で設置されます。

天井カセット型エアコンは、空間全体に均一な冷暖房を提供し、インテリアに溶け込むスタイリッシュなデザインが特徴です。

馬力は一般的に2馬力から6馬力程度で、中規模から大規模の空間に適しています。

天井カセット型は、見た目の美しさと効率的な空調性能を兼ね備えているため、オフィスや商業施設で好まれます。

天井吊型

天井吊型エアコンは、天井から吊り下げる形で設置され、特に高い天井を持つ空間に適しています。

天井吊型エアコンは、直線的な風の流れを生み出し、広範囲にわたる効果的な冷暖房を実現します。

馬力は2馬力から5馬力程度で、倉庫や工場、大規模な店舗などに多く見られます。

天井吊型エアコンは、空間を有効に活用しながら強力な冷暖房を提供するため、特に大空間の冷暖房に最適です。

床置型

床置型エアコンは、その名の通り床に直接設置されるタイプで、特に大型の商業施設や工場に適しています。

このタイプの最大の利点は、メンテナンスの容易さです。

床置型エアコンは、直接床に設置されるため、定期的なメンテナンスや修理が比較的簡単に行えます。

馬力は3馬力から8馬力程度で、大規模な空間でも効率的な冷暖房を提供する能力を持っています。

また、床置型は、空間のデザインに影響を与えにくいため、見た目を重視する施設にも適しています。

壁掛型

壁掛型エアコンは、家庭用エアコンに似たデザインで、壁に取り付けられます。

壁掛型エアコンは、小規模オフィスや店舗に主に導入され、2馬力から4馬力程度の範囲で提供されます。

壁掛型エアコンは、スペースを有効に活用しながら必要な冷暖房を提供することができます。

特に限られたスペースを持つ場所に最適です。

また、家庭用エアコンに似たデザインのため、インテリアと調和しやすく、快適な環境を作り出すのに役立ちます。

画像引用:パナソニック社

業務用エアコンの取り付け工事

業務用エアコンの取り付け工事は一般の家庭用エアコンの取り付け工事と内容が異なります。

業務用エアコンの工事のイメージが掴みにくい方も多いのではないでしょうか?

業務用エアコン設置工事は、専門的な技術と知識が必要とされます。

ここでは、工事の流れとその内容をわかりやすく説明します。

タイプ特徴適用場所馬力
天井カセット型天井に埋め込まれ、空間を均一に冷暖房オフィス、店舗2馬力~6馬力
天井吊型天井から吊り下げ、直線的な風の流れで広範囲をカバー高い天井のある空間(倉庫、工場)2馬力~5馬力
床置型床に直接設置、メンテナンスが容易大型商業施設、工場3馬力~8馬力
壁掛型家庭用エアコンに似たデザインで壁に取り付け小規模オフィス、店舗2馬力~4馬力

業務用エアコンの取り付け工事の前に

業務用エアコンの取り付け工事の前にはエアコンユニットの選定や、設置場所の現地調査が必要となります。

適したタイプのエアコンを選び、必要な電力数が供給されているのかの確認が必要です。

また、設置するタイプによっては配管が可能か、躯体に対してどの様に工事を行い設置するかの確認を行うことも大切です。

業務用エアコンを設置する電力が不足している場合は、必要に応じて電気工事を行わなければなりません。

信頼できる専門業者に相談し、安全な工事と運用ができる様にしっかりと検討しましょう。

業務用エアコンの取り付け工事|現地調査から完成までの流れ

業務用エアコン取り付け工事の主な流れを説明します。

業者によって順番は多少前後します。

①現地調査

工事前には、設置場所の状況を詳細に調査します。

エアコンユニットの選定や設置工事計画を立てます。

②設備と準備:

必要な機材、工具、安全装備を準備します。

安全に工事が行えるように作業スペースを確保します。

③配管工事

エアコンの冷媒が流れる配管の設置工事を行います。

④電気工事

エアコンの動作に必要な電源と配線工事を行います。

⑤室内外機の設置

エアコンの室内外機を適切な位置に安全に設置します。

⑥試運転と調整

全ての設置作業が完了した後、エアコンの試運転を行います。

必要に応じて調整します。

⑦最終確認と清掃

最終的な機能確認を行い、作業場所の清掃をして工事を完了します。

業務用エアコン設置工事業者選びのポイント

業務用エアコン工事は配管工事や電気工事、場合によってはフロンガスの回収など専門的な知識と技術を必要とします。

日常生活で馴染みがない「業務用エアコン」

ユニットの選定も不安が大きいものですよね。

安心してエアコン設置工事をすすめられるように、業者選びのポイントを解説します。

経験と実績のある業者が安心

業務用エアコンは既存の建物に対して行うため、予期せぬアクシデントが起こる可能性も高くあります。

また、運用も会社や工場、店舗によって様々。

そのため、業務用エアコン設置工事と経験と実績の豊富な業者にお願いすると安心です。

長年にわたる業務用エアコンの設置経験がある業者は、様々な状況に対応するノウハウを持っています。

口コミや評判も参考に、経験と信頼が厚い業者を探しましょう。

保証とアフターサポート

業務用エアコン設置後の保証とサポートは、長期的な運用を考える上で大切な要素の一つです。

突然のアクシデントにも対応してくれるアフターサポート、連絡の取りやすさがあると尚安心ですね。

保証期間の長さ、保証内容、故障時の対応速度、定期的なメンテナンスサービスの有無などを確認すると安心です。

見積もりの確認

見積もりには、工事の範囲、使用する材料、必要な作業、予定される工期、そして総費用が明確に記載されているかを確認しましょう。

不明瞭な点があった場合、業者に質問しておくと安心です。

フロンガスの回収も行っているか

業務用エアコンを交換する場合は、古いエアコンの廃棄が必要になります。

業務用のエアコンを廃棄する場合は、フロンガスの適切な処理が不可欠です。

これは、環境省によって定められた「フロン回収・破棄法」によって定められています。

フロンガスを正しく回収せずに廃棄すると、法律違反となります。

注意すべき点は、工事業者ではなく依頼した側が責任を問われることになること。

最大で1年の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります(フロン排出抑制法 第103条)

(参考*環境省|フロン排出抑制法 https://www.env.go.jp/earth/furon/ )

もし、選んだ業者がフロンガスの回収を行っていない場合、別の回収業者に依頼する必要があります。

そのため、追加の手間と費用がかかってしまいます。

エアコンの廃棄を依頼する際には、業者がフロンガスの回収を行っているかどうかを確認しましょう。

オプション料金に含まれているかもチェックすることが大切です。

業務用エアコン工事のまとめ

業務用エアコンの設置工事は、その複雑さと重要性から、専門的な技術と知識が必要とされる作業です。

適切な設置は、エアコンの効率と長期的な性能に大きく影響を与えます。

以下に、業務用エアコン設置工事を安心して依頼するためのチェックリストを提供します。

このリストは、業務用エアコンを設置する際の重要なポイントをカバーしています。

適切な業者選びや工事の進行を確認する際の参考になります。

業務用エアコン設置工事のチェックリスト

①エアコンの種類と仕様の確認

設置場所に適したエアコンのタイプを選定しているか。

必要な馬力と機能を備えているか。

②業者の選定

業者は適切な経験と実績を持っているか。

保証とアフターサポートが提供されているか。

③見積もりと契約の確認

見積もりは詳細かつ透明性があるか。

契約内容に不明瞭な点はないか。

アフターメンテナンスやサポートは希望に沿っているか。

④安全管理の確認

工事中の安全対策が適切に計画されているか。

作業員は適切な保護具を使用しているか。

⑤トラブル回避策の確認

配管や電気工事に関するトラブル回避策が準備されているか。

室内外機の設置位置が適切か。

最終的な清掃と確認が行われるか。

この記事が業務用エアコンを設置する際の参考になれば嬉しいです。

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