幹線設備工事ってどんな工事?工事内容と業者の選び方

電気は私たちの日常生活を快適に便利にしてくれる、欠かせないものです。

電気を安全かつ効率的に供給するために必要な工事の一つに幹線設備工事があります。

聞き慣れない言葉でピンとくる方は少ないかもしれません。

しかし、幹線設備は電気を日常的に使うためにとても重要なものです。

この記事では、幹線設備や幹線設備工事の具体的な内容について詳しく解説します。

また、信頼できる業者の選び方についても合わせて説明しています。

安心安全に電気を使うために、幹線設備工事について理解を深めていただけるお手伝いができたら嬉しいです。

この記事の監修者

株式会社 林田電気工業

林田竜一

代表取締役

1級電気工事施工管理技士

行橋市で電気工事会社を経営しています。お客様ひとりひとりに丁寧に対応し、電気でつなぐ明るい未来をスローガンに地域に貢献できるように努めています。

幹線設備とはなんのこと?

私たちの日常生活に欠かせない電気。

その電気がどのようにして私たちの家庭や職場に届くのか、仕組みについてご存知ですか?

電気を家庭や職場に取り込むために必要なのが「幹線設備」です。

では、幹線設備とは具体的に何を指すのでしょうか?

幹線設備は、電力を大規模な建物や施設に供給するための主要な電気配線システムです。

幹線設備には、電力を受け取る受変電設備から各部屋やフロア、機器に電力を分配するための配電盤までの配線が含まれます。

幹線設備は電力の大動脈のようなもので、建物全体に電気を流すための基盤となる設備です。

幹線設備は、ビルや工場、病院などの大型施設にとって特に重要な役割を担っています。

大型施設の膨大な電気の安定した供給と効率的な配分を担保するために不可欠な設備です。

また、幹線設備の設計や施工は、その建物の用途や規模に応じて異なります。

幹線設備の設計や施工には専門的な知識と技術が必要とされます。

幹線設備の種類役割・機能説明
受変電設備高圧電力を受け取り、建物や施設で使用可能な電圧に変換する。
主幹配線受変電設備から配電盤へ電力を送る主要な配線。建物の電気システムの中核を担う。
配電盤(電気盤)建物内の各所に電力を分配する中心的な設備。安全ブレーカーやスイッチを含む。
分電盤配電盤からさらに細かく電力を分配する。各フロアや特定のエリアへの電力供給に使用される。
変圧器(トランス)電圧を変換するための設備。大規模な施設で電力の効率的な使用を可能にする。
地中埋設ケーブル電力を地下から建物に供給するためのケーブル。都市部のビル群などで一般的。

幹線設備工事とは?

幹線設備工事は、電気を私たちの家庭や職場に安全かつ効率的に届けるために不可欠な工事です。

幹線設備工事は、電力を建物内の各所に供給するための主要な配線システムに関する工事のことを指します。

幹線設備の設置、メンテナンス、改修を含みます。

・受変電設備から配電盤、分電盤への配線

・変圧器の設置

・ケーブルトレイや配線ダクトの設計と施工

などが含まれます。

これらの作業は、電気工事士の資格を持つ専門家によって行われることが法律で定められています。

建物の安全と電力供給を行うために、専門の知識と技術を必要とする工事の一つです。

幹線設備工事の種類と役割

幹線設備工事にはいくつかの主要な種類があります。

最も一般的なのは、新築建物や改築される建物における幹線の敷設工事です。

これには、電力を建物の主要部分に供給するための配線の設置が含まれます。

また、既存の建物での幹線設備の改修や拡張工事もあります。

これには古くなった配線の交換や追加の電力需要に対応するための配線の拡張が含まれます。

さらに、特定の機器やシステムへの直接的な電力供給を目的とした専用の幹線設備工事もあります。これらの工事は、建物の用途や規模に応じて異なります。

幹線設備工事の作業内容説明・役割
配線計画や図面の作成幹線設備工事の初期段階で行われる、配線の計画と図面の作成。
配線材料や器具の選定と調達適切な配線材料や器具を選定し、必要に応じて調達する作業。
配線経路や器具の取り付け位置の決定配線を行う経路や器具の取り付け位置を決定する。
配管やケーブルトレイなどの架台工事配線を保護し、整理するための配管やケーブルトレイの設置。
配線器具や機器の取り付けと接続配線器具や機器を取り付け、電気回路に接続する作業。
配線回路の試験や点検施工後の配線回路の機能試験や安全点検。

幹線工事とは

幹線工事とは、送電された電気を大型建物の電気設備に送る際に、大動脈となる配線を行う工事となります。

幹線設備工事に不可欠な工事です。

幹線工事で適切な配線を行い、幹線設備を適切に設置することで、大量の電気を安全に使えるように制御・監視・分配を行うことができます。

幹線工事には主に次のような工事が行われます。

・幹線敷設工事

・幹線改修工事

・幹線延伸工事

種類説明
幹線敷設工事新築または新規施設への主要配線システムの設置。
幹線改修工事既存建物の幹線設備の更新や修正。
幹線延伸工事増築や用途変更に伴う既存幹線設備の拡張。

幹線敷設工事

新たに建物を建築する際に行われる幹線工事です。

①受変電設備から分電盤への配線

変圧器を含む受変電設備から、主要な配電盤を経由し、最終的に各分電盤まで電力を供給するための配線を行います。

②配線方法

幹線の配線は地中に埋設する方法と、架空で配線する方法があります。

これらは建物の骨格が組み立てられる段階で実施されます。

③配電盤と分電盤の設置

配線敷設と並行して、配電盤や分電盤の設置工事も行われます。

幹線改修工事

幹線が古くなり交換が必要になった際に必要になる幹線工事です。
改修工事では、現在の電力使用量を計測し、最適な設備の設置や幹線の引き直しを行います。

これにより、安全かつ効率的な電力供給を確保することができます。

幹線改修工事は、以下の状況で必要になります。

①幹線の老朽化

長年使用された幹線が古くなり、交換が必要な場合。

②電力ニーズの変化

施設での電力使用量が増加し足りなくなったり、逆に過剰な電力が供給されていたりする場合。

適切な電気の使い方を見直すことでコスト削減を図る目的もあります。

幹線延伸工事

増改築などで、幹線を敷設する必要がある場合に必要になる幹線工事です。

幹線延伸工事は、以下のように実施されます。

①増改築に伴う必要性

建物が増改築された場合、新たに幹線を敷設する必要があります。

②ケーブルの長さ

この工事では、10メートルから数キロメートルに及ぶ長さのケーブルが使用されることがあります。

③架空配線の挑戦

架空配線の場合、数トンの重さを持つケーブルを十数メートルの高さに移動し、そこから延伸する作業が含まれます。

幹線設備工事の流れと手順

幹線設備工事は、特に大規模な施設においては電力を安全安心に使用するために不可欠です。

また、幹線設備や幹線配線を見直すことで必要な電力と不要な電力を把握することもできます。

幹線設備工事前の準備

幹線設備工事を開始する前に、まずは詳細な工事計画を策定します。

これには、必要な資材の選定や安全措置の準備、作業スケジュールの設定などが含まれます。

定期点検で補修が必要になった部分。

配線を広げた先での電気の分配。

幹線設備工事を行うきっかけは様々です。

しかし、幹線設備工事は電気を扱う工事。

そのため、施設の電気の流れを止める必要が生じる場合もあります。

支障を少なくし、周知をするためにも、作業スケジュールのすり合わせは必須となります。

現地調査が必要な理由

幹線設備工事には、専門業者による現地調査が必須です。

現地調査は、建物の構造、電力需要、環境的な特徴を正確に把握し、最適な工事計画を策定するために行われます。

また、現地の条件に適した工法の選定や安全対策の確立も、現地調査を通じて行われます。

幹線設備工事は電気主任技術者の資格を有した作業者が必要な専門的な工事です。

信頼して相談できる業者に、現状把握・現地調査を依頼して行うことをおすすめします。

また、幹線設備工事は、特定の専門知識と技術を要するため、有資格者による施工が法的に要求されています。

無資格者がこの種の工事を行うと、安全上のリスクや法的な罰則に直面する可能性があります。

安全と法規制の遵守を保証するために、資格のある専門業者による現地調査や実施が必要です。

参考:電気工事士法 経済産業省

https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/koujisichikujyou.pdf

幹線設備工事業者選びのポイント

  • 幹線設備工事をお願いしたい
  • 幹線設備の点検と適切な運用ができているのかを見直したい
  • 増改築のため幹線を広げる必要がある

幹線設備工事は、大規模な建物の電気を安全に使用するために不可欠なもの。

そのため、定期点検や細かいメンテナンスが必要です。

安心して任せられる業者選びのポイントを解説します。

信頼できる幹線設備工事業者の選定基準

幹線設備工事の業者を選ぶ際のポイントをピックアップしました。

検討の際の参考にしてみてください。

①長年の経験と実績

業者がどれくらいの期間、幹線設備工事を行っているかを確認します。

長年の経験は、さまざまな状況に対応する能力と信頼性の高さを示します。

実績の多い業者にはたくさんのノウハウが蓄積されています。

建物に応じて柔軟な対応が求められる幹線設備工事は、経験と実績のある業者に依頼すると安心です。

②お客様の声

口コミや地元の評判が良い業者は、質の良いサポートやアドバイスをしてくれる可能性が高いです。

実際の顧客の声は、業者の信頼性を判断するのに役立ちます。

③専門知識安全基準への理解

幹線設備工事は専門的な知識を要する工事です。

法令や安全規則を遵守している業者かどうかは、大切な判断基準となります。

また、法令や安全規則の遵守は、工事の品質と安全性の保証にもなります。

確認しておきたい、アフターメンテナンスとサポート

幹線設備工事後のアフターメンテナンスとサポートは、長期的な安全性と機能性の維持のために大切です。

業者選定の際には、下記のメンテナンスとサポートも行っているのかを確認するとより安心です。

①メンテナンスプランの有無

工事完了後も定期的なメンテナンスや点検を実施しているかを確認しましょう。

電気設備はものによっては、定期点検が義務つけられているものもあります。

定期的なメンテナンスと点検により、電気設備を安心安全に効率よく運用することが可能になります。

②緊急時の対応

電気設備には予期せぬ問題が発生する可能性があります。

電気の予期せぬ問題は、早急に対応する必要があるケースもあります。

業者が緊急時の対応や修理にも対応しているのかも確認しておきましょう。

③保証期間と条件

幹線設備工事に関する保証内容の確認をしましょう。

あわせて、保証期間とその条件を説明しておいてもらうと、いざという時に安心です。

④長期的なパートナーシップ

幹線設備や幹線は長期的な運用を行う電気設備です。

信頼できる業者に安心して任せることで、より効率的で安全な運用を図ることができます。

長期的な関係を築ける業者を選びましょう。

将来的な拡張や改修が必要になった際に、心強いパートナーとなってくれるでしょう。

アフターメンテナンスとサポートの要素は、幹線設備工事の長期的な成功を確保する上で不可欠です。

適切な業者を選び、安心して設備を維持管理できると安心です。

幹線設備工事のまとめ

幹線設備工事は、私たちの生活に欠かせない電気を家やオフィスに届けるためにとても大切な工事です。この工事がうまくいくためには、いくつか大事なステップがあります。

まず、工事を始める前にしっかりと計画を立て、安全に作業を進めるための準備をします。そして、現地でのしっかりとした調査が必要です。これによって、建物の特徴や必要な電力を正確に知ることができ、最適な工事ができるようになります。

工事を任せる業者選びも大切です。信頼できて経験豊富な業者を選ぶことで、安心して工事をお任せできます。業者の選定では、資格や過去の実績、そしてクライアントの声をチェックしましょう。

最後に、工事が終わった後も大切です。アフターメンテナンスやサポートがしっかりしている業者を選ぶことで、長く安心して電気を使うことができます。

このように、幹線設備工事は準備から業者選び、アフターケアに至るまで、いろいろなポイントがあります。

丁寧に進めて、快適な電力供給を実現しましょう。

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