動力設備という言葉を聞いたことがありますか?
日常的に使われている設備ですが、あまり馴染みがない言葉かもしれません。
日常生活の中で何気なく使用しているエレベーターやエスカレーター。
また、医療機器や厨房機器、防災機器などの電気を使って動かす設備を「動力設備」と呼びます。
電気によって動かす設備のことを「動力設備」と呼びます。
動力設備は生活を便利にするだけでなく、暮らしを守るためにも欠かせない設備です。
この記事では、動力設備についての基礎知識や工事について解説します。
便利で安心した日常を送るために不可欠な動力設備について知ることによって、電気工事の大切さを知っていただけたら嬉しいです!
株式会社 林田電気工業
林田竜一
代表取締役
行橋市で電気工事会社を経営しています。お客様ひとりひとりに丁寧に対応し、電気でつなぐ明るい未来をスローガンに地域に貢献できるように努めています。
半世紀の歴史!
福岡県行橋市の電気会社
林田電気工業
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動力設備は、電動機、動力盤、中央監視設備を含む、電気を動力源として使用する設備の総称です。
日常生活や産業活動に欠かせない様々な機械やシステムを動かすために必要な、機械エネルギーを供給する設備のことです。
このエネルギーは主に、電気から機械エネルギーへと変換されることで得られ、その中心的役割を担っているのがモーター(誘導電動機)です。
動力設備は、単相電源ではなく、より大きな電力を必要とする三相(3φ)200Vまたは400Vを電源として作動します。
動力設備の種類
動力設備は、私たちの生活を便利に安心して暮らせるために不可欠な設備です。
日々の生活や産業の各場面で広く利用され、快適な生活や産業の発展に欠かせない役割を担っています。
動力設備の種類 | 役割・用途 |
---|---|
エレベーター | 建物の異なる階間を移動するために使用されています。 特に高層ビルでは不可欠な動力設備です。 |
エスカレーター | ショッピングモール、駅、空港などで広く利用されている動力設備です。 人々を階層間や長い直線通路などをスムーズに移動させるために用いられています。 |
医療機器 | MRI、CTスキャナーなどの高度な医療診断機器から、手術に必要な装置や人工呼吸器まで。 動力設備は医療現場で幅広く使用されます。 |
防災機器 | 自動火災報知機、非常用電源装置など、災害時の安全を守るために用いられている動力設備です。 |
厨房機器 | 業務用冷蔵庫、オーブン、ミキサーなど、食材を加工・調理するためにも動力設備は用いられています。 |
生産機器 | 組み立てライン、パッキング機械、CNC加工機など、製品生産や工場のラインにも動力設備は不可欠です。 |
空調機器 | オフィスビル、工場、倉庫などの温度と湿度を制御し、快適な環境を維持するための動力設備です。 |
一般的には、動力設備はこれらの種類の機器をまとめる呼称ではなく、動力盤から各動力機器までの配線のことを指して呼ばれているようです。
もちろん、動力設備は電気設備の一種です。
そのため、動力設備に幹線設備を含める場合もあります。
また、動力盤を除く場合もあるようです。
建物によってどこからどこまでが動力設備と定義されているのかは、異なるようです。
そのため、電気設備工事の中でも柔軟に対応できる知識と経験が必要となる設備ともいえます。
動力設備の仕組み
動力設備は、電動機や様々な機器を動かすために必要な電気を供給するシステムです。
電気は発電所でつくられて、各家庭や施設へ送電されます。
受電、変電、配電を経て私たちが使用することができるようになります。
発電所でつくられる電気はそのままでは使用できないため、適宜変電される必要があります。
変電する設備は受変電設備と呼ばれています。
動力設備の危機への送電もこの受変電設備(キュービクル)を介して行われます。
受電した電気を受変電設備(キュービクル)で三相200V(もしくは400V)の電気を変電します。
電気を必要とする機器が大量にあり、てんでばらばらに制御されていると、配線数やキュービクルの数がとてつもなく大きくなります。
結果、制御が難しくなります。
動力設備 | 役割 |
---|---|
電動機 | 一般的に「モーター」と呼ばれています。 電流によって生じる電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する役割を担った装置のことです。 |
動力盤 | 動力機器を動かす際に電気を供給するための盤のことです。 動力機器を安全で正確に制御するためには「安全装置」と「制御装置」が不可欠。 この「安全装置」と「制御装置」が収められているのが動力盤です。 |
中央監視装置 | 中央監視装置は、大型の商業ビルや病院、工場などにおいて、空調設備、電気設備、給排水設備などの多岐にわたる機能を自動化し、不具合を監視・記録するために使用されるシステムです。 中央監視装置により登録されている機器の運転や停止の操作が行われ、建物や施設全体の効率的な管理が可能になります。 |
このような事態を防ぐために、電気を送る先の機器(動力設備)の周辺に動力盤をそれぞれ置き、受変電設備から動力盤へ電気を送電する仕組みをとっていることが多いです。
動力設備に、電動機、動力盤、中央監視設備が含まれている仕組みになっているのは、電力や制御を安心安全に行うためと言えるでしょう。
動力設備と仕組みについて解説してきました。
そこで「動力って電力と何が違うの?」と疑問を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は電気は、動力と電力とがあります。
動力で動くものが「動力設備」とも言えます。
では、動力と電力は何が違うのでしょうか?
動力とは
引用:パナソニック社
業務用のエアコンや冷蔵庫のなどのカタログの消費電力に記載されている「三相200V」という記載があります。
動力とは、この「三相200V」の電気のことです。
動力は3本の線で電気が送られてきます。
電気の通り道が多いため少ない電流で大きな電気を届けることができるのです。
また、コンセントが4つ穴タイプになっていることも動力の特徴です。
電力で動くようにつくられている普通の家電を動力で動かすことはできません。
大きな電気を使う業務用の機材は電力ではなく、電気でなければ使えない場合が多いのです。
動力を使用する場合には電力会社への申請が必要となります。
動力と電力との違い
動力と電力の違いは、コンセントを見ると明らかにわかります。
動力のコンセントが4つ穴タイプであることに対して、電力のコンセントは2つ穴タイプです。
家庭用のコンセントでお馴染みの形です。
三相200Vの動力に対して、電力は単相100Vが標準です。
エアコン用の電気供給には3つ穴コンセントが使われています。
これは、エアコンの使う電力が高いため単相200Vの電力が使われいるためです。
また、動力と電力は電気料金も大きく異なります。
項目 | 電力 | 動力 |
---|---|---|
契約プラン | 家庭用で使用。 照明や家電製品などに適用。 | 工場や大型商業施設で使用。 業務用機器や大規模設備に適用。 |
電気の種類 | 単相電力: 100Vや200V、低電圧機器に適用。 | 三相電力: 単相に比べ少ない電流で多くのエネルギーを供給できる。 |
基本料金 | 比較的安いが、使用量増加で電気代が高くなる。 | 基本料金は高いが、使用量増加で単価が割安になる。 |
業務用エアコンや冷蔵庫は稼働時間や規模が大きくなるため、消費エネルギーが高くなります。
店舗や事務所の電気代の見直しをする際には、動力を検討してみましょう。
動力と電力の耐用年数と勘定科目
動力設備も電気設備と同じく償却資産となります。
動力設備にかかる費用は一般的に勘定科目「建物及び構築物」や「機械装置」などに計上されます。
動力設備も資産の一部と考えられ、経費計上の際には耐用年数を参考にして計算されます。
耐用年数は法律で定められています。
この場合、動力設備も電気設備の一種と考えられるため、耐用年数は電気設備として捉えられることが多いようです。
電気設備の耐用年数は15年と定められています。
動力設備工事は、工場や商業施設内で使用されるモーターや業務用エアコンなど、電気使用量が大きい機械に電力を供給するための専門的な工事です。
これには、動力盤や分電盤から機械に至るまでの配線、配管、ケーブルラック、ケーブルダクト、分電盤、制御盤の据え付けなどが含まれます。
動力設備工事の種類
動力設備工事は、家庭用の電力工事同様に特定の専門知識と技術を要するため、有資格者による施工が法的に要求される工事の一つです。
電力工事よりも大きな電力を扱うため、経験や実つを必要とあれる工事と言えるでしょう。
無資格者がこの種の工事を行うと、安全上のリスクや法的な罰則に直面する可能性があります。
安全と法規制の遵守を保証するために、資格のある専門業者による現地調査や実施が必要です。
参考:電気工事士法 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/koujisichikujyou.pdf
動力設備工事には次のようなものがあります。
工事の種類 | 内容 |
---|---|
動力設備電源工事 (動力用配線) | 新しい動力設備への電源を設置し、各機械まで配線を施工します。 配線ルートは現場状況に基づいて現地調査が必要な場合があります。 |
動力盤内結線 | 既存の動力盤に新たな設備を追加する工事です。 |
電線管工事 | 電線を電線管を使用して保護するための工事です。 |
絶縁測定 | 設備や機械のトラブルや故障原因の特定を行います。 急停止や故障があった場合に実施され、場合によっては工事が必要となります。 |
動力制御機器の取り付け・交換 | 最適な動力制御を実現するための機器選定および取り付け、既存機器の交換を行う工事です。 制御機器の取り付けや交換も行われる場合があります。 |
動力設備増設工事にはトランス容量の確認が必須
動力設備を利用するためには、通常よりも大きい電力を必要とするため電力の確保が必要となります。
その電力を確保するための電源をつくることも、動力設備工事に含まれる場合があります。
ビルや工場などで動力設備を増設する場合。
トランス容量の確認をする必要があります。
トランス要領とは変圧器(トランス)の容量のことです。
100kVA、200kVA、300kVA、500kVAの4種類が主流だと言われています。
トランスは電圧を変換する装置です。
容量をオーバーすると機械が正常に機能しなくなる原因となり、動力設備の故障の原因にも繋がるケースもあります。
そのため、動力設備増設工事にはトランス容量の確認が必須と言えるでしょう。
- 電力から動力に切り替えたい
- 動力設備を増設したい
- 動力設備のメンテナンスをお願いしたい
動力に関する工事は電力よりも大きな電気を扱う、専門性が高い工事です。
動力はビルや商業施設、店舗、病院、工場など不調が起こった際に多くの人が困る場所の電気を担っています。
そのため、定期点検や細かいメンテナンスが必要です。
安心して任せられる業者選びのポイントを解説します。
信頼できる動力設備工事業者の選定基準
動力設備工事の業者を選ぶ際のポイントをピックアップしました。
検討の際の参考にしてみてください。
①長年の経験と実績
業者がどれくらいの期間、動力設備工事を行っているかを確認します。
長年の経験は、さまざまな状況に対応する能力と信頼性の高さを示します。
実績の多い業者にはたくさんのノウハウが蓄積されています。
電気に対してより高い専門性が必要な動力設備工事は、長年の経験と実績をもつ業者がおすすめです。
②お客様の声
口コミや地元の評判が良い業者は、質の良いサポートやアドバイスをしてくれる可能性が高いです。
実際の顧客の声は、業者の信頼性を判断するのに役立ちます。
③専門性・知識・安全基準への理解
動力設備工事は専門的な知識を要する工事です。
法令や安全規則を遵守している業者かどうかは、大切な判断基準となります。
また、法令や安全規則の遵守は、工事の品質と安全性の保証にもなります。
確認しておきたい、アフターメンテナンスとサポート
動力設備工事後のアフターメンテナンスとサポートは、長期的な安全性と機能性の維持のために大切です。
業者選定の際には、下記のメンテナンスとサポートも行っているのかを確認するとより安心です。
①メンテナンスプランの有無
工事完了後も定期的なメンテナンスや点検を実施しているかを確認しましょう。
動力設備は、定期点検が義務つけられているものが多いです。
定期的なメンテナンスと点検により、動力設備を安心安全に効率よく運用することが可能になります。
②緊急時の対応
動力設備は予期せぬトラブルが発生する可能性があります。
多くの人の生活や、時には生命にも直結するケースもある動力設備のトラブルは、早急に対応する必要があります。
業者が緊急時の対応や修理にも対応しているのかも確認しておきましょう。
③保証期間と条件
動力設備工事に関する保証内容の確認をしましょう。
あわせて、保証期間とその条件を説明しておいてもらうと、いざという時に安心です。
④長期的なパートナーシップ
動力設備は耐用年数も15年と長く設定されているものもあります。
また、定期的なメンテナンスが義務付けられているものもあります。
信頼できる業者に安心して任せることで、より効率的で安全な運用を図ることができます。
長期的な関係を築ける業者を選びましょう。
いざという時に頼れる、信頼できる業者をみつけることが大切です。
動力設備工事は、工場や商業施設などでの高い電力を使うために必要な工事です。
電源の設置から各種機械への配線、動力盤内の結線、電線管の設置、絶縁測定、そして動力制御機器の取り付けや交換に至るまで、多岐にわたる作業を含みます。
また、定期的なメンテナンスも必要とします。
扱う電気も大きく、トランス容量の確認など、電気工事でもより専門性を問われる工事とも言えます。
動力設備は大量の電力を扱うため、安全性の確保が大切となります。
トラブルを未然に防ぐための定期的なメンテナンスや、緊急時の対応も必須と言えるでしょう。
動力設備工事を行う際は、経験豊富な有資格者の知識と作業がが求められます。
長期的な運用のためにも、信頼できる業者にお願いしてください。
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