電灯と動力の違いがわかる!電灯動力設備工事の基本と流れを解説

新しい店舗を出店する際や工場の設備を導入する際に

「このエアコンは電灯で大丈夫ですか?」

「この厨房機器には動力の契約が必要です」

といった会話を耳にしたことがあるかもしれません。

いざ「電灯」と「動力」と言われてもどのように違うのか、何が違うのかもわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、電灯と動力の基本的な違いから、電灯動力設備工事の内容や流れについて初心者にもわかりやすく解説します。

より安全で快適な電気環境を整える一助となったら嬉しいです。

この記事の監修者

株式会社 林田電気工業

林田竜一

代表取締役

1級電気工事施工管理技士

行橋市で電気工事会社を経営しています。お客様ひとりひとりに丁寧に対応し、電気でつなぐ明るい未来をスローガンに地域に貢献できるように努めています。

半世紀の歴史!
福岡県行橋市の電気会社
林田電気工業

電気に関するお悩みは
お気軽にご相談ください

専任のスタッフがお客様のご不明な点にお答えいたします。お困りでしたらお電話またはお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

受付:月〜金 10:00〜17:00 土日祝日 定休日

電灯と動力の違いとは?

電灯と動力という言葉を聞いたことはありますか?

店舗や工場の工事に立ち会ったことがある方なら聞いたことがあるかもしれませんが、一般的に聞き馴染みの少ない言葉ではないでしょうか?

ここでは一般家庭でよく使われる「電灯」と、店舗や工場でよく使用される「動力」の違いについて解説します。

電灯とは

「電灯」とは、一般的に家庭やオフィスなどで使用される電気のことです。

家庭やオフィスで日常的に使われる冷蔵庫、照明、電子レンジ、テレビ、エアコン、掃除機といった家電製品に供給される電力が該当します。

これらの製品は、いずれも「単相(たんそう)」という電力供給方式で動作しています。

この単相とは、100V(ボルト)または200Vで電気を供給する仕組みのことです。

多くの家庭やオフィスでは、コンセントから供給される電圧が100Vでです。

一部のエアコンや電気レンジなどでは、より強力な200Vが利用されています。

家庭やオフィスで日常的に使われる電気は、安全性が非常に重視されています。

そのため、一般的に電圧が低めに設定されています。これは、感電や火災といった事故を防ぐためです。

家電量販店で販売されている製品は、ほぼ全てがこの「電灯」の範囲で使える設計になっています

購入時には特に意識することなく、家庭のコンセントに差し込めばすぐに使えるものが多いのです。

冷蔵庫、照明、洗濯機、電子レンジなど、一般的な家庭にある機器はすべて「電灯」で動作する製品です。

動力とは

「動力」とは、主に店舗、工場、商業施設などで使用される電気のことです。

これらの場所では、一般家庭で使われる家電よりもはるかに強力な電力が必要とされるため、特別な電力供給方式が使われています。

例えば、大型の業務用エアコン、工場で稼働する重機や製造機械、大容量の冷凍冷蔵庫、エレベーターなど、通常の電気ではまかなえない機器に「動力」が必要です。

動力は、「三相(さんそう)」という電力供給方式で供給されます。

一般家庭で使われる「単相」に対し、三相では200Vの電圧が少ない電流で効率的に供給される仕組みです。

三相の特徴は、3本の電線を使って電力を供給する点にあります。

この仕組みのおかげで、同じ電圧でも単相よりも安定した、強力な電力を供給できるため、大型機器や業務用設備に適していると言われています

一般家庭では、この動力が必要になるケースはほとんどありません。

通常、家庭で使う家電製品は単相100Vまたは200Vで動作するため、動力の契約をする機会はありません。

しかし、店舗や工場では、動力が欠かせない状況が多く存在します。たとえば、飲食店では、大型の冷凍冷蔵庫や業務用の炊飯器、調理機器が動力で動作します。

これらの機器は大量の食材を保管したり、短時間で大量の料理を調理したりするために、通常の電気では足りないパワーが必要です。

また、オフィスビルや商業施設などでは、天井に埋め込まれた大型のエアコンが見られますが、これも動力で動作します。

これらのエアコンは、大規模な空間を冷暖房するために強力な電力が必要で、動力が適しています。

動力を契約する際には、まず現地調査を行い、どの機器が動力を必要とするか、どの程度の電力が必要かを確認することが大切です。

電灯と動力の違い

電灯動力
使用場所家庭、オフィス、店舗の一部工場、大型店舗、商業施設
主な用途家電、照明、小型機器業務用エアコン、大型機械、エレベーター
電圧100V/200V200V
供給方式単相三相
特徴低電圧で安全、一般家庭向け高効率で強力な電力供給、大型設備向け

電灯と動力の違いは、供給される電力の規模や効率にあります。

例えば、一般家庭に設置されているエアコンは、電灯(単相)で十分動かすことができます。

これは、家庭用エアコンが比較的少ない電力で済むように設計されており、100Vまたは200Vで動作するからです。

しかし、オフィスや店舗に設置される天井埋め込み型の業務用エアコンや、工場の機械などは、はるかに多くの電力を必要とします。

これらの機器を効率的に動かすには、動力(三相)が必要となります。

三相の仕組みにより、大型機器でも少ない電流で必要な電力を供給できるため、電力効率が高く、結果的にコストパフォーマンスが良くなります。

また、電力の契約内容もこの違いに基づいて決定されます。

一般家庭では、基本的に電灯(単相)の契約のみで十分です。

しかし、店舗や工場では、動力(三相)を契約しなければ、大型機器が正常に動作しないケースがあります。

たとえば、飲食店では、大型の冷凍冷蔵庫や業務用調理機器が動力で動作します。

こうした機器を効率よく稼働させるためには、動力の契約が不可欠です。

さらに、三相のもう一つの利点として、機器の安定性があります。

三相の電力供給は、電流が3本の線で均等に分散されるため、機器の動作が安定し、電力の波動が少なくなります。

そのため大型機械が長時間稼働しても、パフォーマンスが落ちにくく、故障のリスクが低減されます。

電灯動力設備工事が必要となるケース

電灯動力設備工事はどんなときに必要になるのでしょうか。

電灯設備は家庭や小規模なオフィスで日常的に使われますが、大型の店舗や工場では動力設備が必要です。

ここでは、動力設備の導入が必要になる場面や、オフィスや商業施設でよく見られる電灯設備の導入例を解説します。

自分の店舗や施設にどのような工事が必要かを検討する際のヒントになりますように。

店舗や工場での動力設備導入の必要性

店舗や工場では、大型の機器や業務用設備が稼働するため、通常の家庭用電気(電灯)では対応できないケースが多くあります。

例えば、飲食店では大型の冷蔵庫や、業務用の炊飯器、調理機器が使用されますが、これらは家庭用の電灯では十分な電力が供給できません。

動力を使うことで、これらの機器を安定して動かすことができます。

また、工場では、製造ラインを動かす大型機械や、空調設備など、多くの電力を必要とする設備が使われます。

動力設備は、こうした大量の電力を効率よく供給するために必要です。

工場や大規模な店舗で動力設備が欠かせない理由は、効率的に強力な電力を供給することで、大型機器の安定した稼働が保証されるからです。

動力を導入することで、業務効率が向上し、機器の寿命も長くなります。

オフィスや商業施設での電灯設備の導入例

オフィスや商業施設では、照明やコンセントが必須の設備です。

これらは主に電灯を使って供給されます。

オフィスでは、パソコンや電話、プリンターなどが日常的に使用されますが、これらは全て電灯の範囲内で動作する機器です。

また、商業施設では、店内の照明やレジシステムなど、一般的な電灯設備が中心となります。

たとえば、ショッピングモールや大型店舗では、多くの照明設備が使われていますが、これらも電灯で賄うことができます。

また、オフィスビルでは、各階に設置された照明、オフィス内のデスクランプや電源コンセントも電灯設備に分類されます。

基本的に家庭やオフィスでは電灯が適用されていることが多いです。

家庭やオフィスではライフスタイルの変化や機器の導入、従業員の増員などによって電灯設備の見直しが必要になることも多いです。

電灯設備を適切に配置しメンテナンスすることで、生活の快適さの向上や、オフィスでは作業効率のアップが期待できるからです。

また、場合によっては省エネ性能のアップも期待できることが多いことも電灯設備の定期的な見直しをおすすめする理由の一つです。

動力設備工事が求められるケースとは

店舗やオフィス、工場で動力設備工事が必要となるケースは様々です。

代表的な例として、エアコンの設置が挙げられます。

家庭用エアコンであれば電灯で動作しますが、店舗やオフィスで使用される大型の業務用エアコンは、動力が必要です。

大型の業務用エアコンの設置時には、動力設備工事が求められるため、工事の前に電灯か電力かの確認が必須です。

また、飲食店では、大型の冷凍冷蔵庫や業務用調理機器を導入する際にも動力が必要になります。

大型の冷凍冷蔵庫や業務用調理機器は、通常の電灯では動作しません。

そのため、動力設備工事を事前に計画しておく必要があります。

さらに、工場では、大型機械の導入や増設時に動力の配線工事が不可欠です。

大型機械は多くの電力を消費するため、動力供給が不可欠です。

このように、エアコン設置や大型機器の導入が予定されている場合、事前に電灯や動力の工事計画を立てることが重要です。

これにより、機器の安定稼働が保証され、施設全体の運営がスムーズに進みます。

電灯動力設備工事の内容

電灯動力設備工事は機器を設置するだけでなく、施設全体の電気システムを構築し、安定した電力供給を行うための重要な電気工事の一つです。

ここでは、具体的な工事内容として、分電盤の設置、受変電設備からの電源供給、そして配線や配管の工事について詳しく解説します。

また、改修工事の重要性についてもしっかりと解説をします。

施設や店舗の運営に必要な電気設備について理解を深めて事業やビジネスの計画にも役立てていただけたらと思います。

分電盤の設置工事

分電盤とは、電力を各部屋や機器に分配するための装置で、施設全体の電気を管理する重要な電気設備です。
分電盤は、私たちの生活やビジネスに欠かせない存在であり、家庭でもよく見かけるものです。

商業施設や工場では、より多くの電力を必要とするため、家庭用よりも大規模で複雑な分電盤が使われます。

分電盤は、建物全体で使用される電気を効率よく管理し、必要な場所へ適切な電力を供給する役割を果たします。

分電盤には、電力会社から供給される電気が最初に集まります。

そして、その電気を各エリアや機器に適切な量で配分します。

例えば、店舗や工場では、同時に複数のエアコンや照明、機器が稼働します。

各機器に必要な電力が安定して供給されるように、分電盤がそれぞれの回路を制御しています。

制御のためには各回路の容量や設計が重要で、過負荷がかからないように注意しなければなりません。

また、分電盤には「ブレーカー」が内蔵されており、施設を安全に保つための大きな役割を担っています。

ブレーカーとは、電気の流れが異常に増えたとき(過負荷やショートなど)に、自動的に電力を遮断する装置のことです。

複数の機器を同時に使用して電気が過剰に流れた場合や、配線に問題が生じたとき、ブレーカーが働いて電力を止め、火災などの事故を防ぎます。

分電盤は単に電力を配分するだけでなく、安全面でも非常に重要な役割を担っています。

分電盤の設置工事は、最初に分電盤をどこに設置するかを決定します。

設置場所は、電気配線が無理なく接続できるか、メンテナンスがしやすいかなどを考慮して選定されます。

次に、電力会社から供給される電気を分電盤に接続し、そこから各回路に電気を供給します。

この段階では、各回路が適切に設計され、機器が安全に動作できるように計算が行われます。

その後、各回路が正しく機能するかを確認します。

各ブレーカーが正しく動作するか、電力が過不足なく配分されているかなどのテストが行われることが多いです。

さらに、動力機器と電灯機器がそれぞれ独立して管理されるよう、分電盤内での回路分けも行われます。

全ての機器が安全かつ安定して動作することを確認し、分電盤設置工事が完了します。

分電盤の選定には、施設の規模や使用する機器に応じた容量が求められます。

もし容量が不足していると、機器が正常に動作しないだけでなく、ブレーカーが頻繁に落ちる原因となります。

そのため、設置時には、将来の設備拡張も見越して余裕を持った容量を確保することが大切です。

受変電設備からの電源供給工事

受変電設備とは、電力会社から供給される高圧電力を、施設内で使用できる低圧電力に変換するための重要な電気設備です。
商業施設や工場など、大量の電力を必要とする施設では、電力会社から供給される電気は高圧のまま受け取ります。

高圧電気を直接利用することはできないため、受変電設備を用いて、適切な電圧に変換する必要があります。

受変電設備は、電気の「変圧」を行うための装置で、施設全体に安定した電力を供給する中核的な役割を果たします。

受変電設備が設置される場所には、まず「変圧器」と呼ばれる装置が導入されます。

変圧器は、供給される高圧電力を、動力や電灯で使用できる200Vや100Vといった低圧に変換します。

変換作業は非常に重要で、適切に行われないと、電圧が不安定になり、機器の誤作動や故障の原因となります。

また、過剰な電圧や不足した電圧は、施設全体の電力供給に悪影響を及ぼし、安全性にも問題が生じる可能性があります。

受変電設備の設置工事は、まず設置場所の選定から行われます。

受変電設備は大型であるため、十分なスペースが必要です。

また、機器の設置場所は、電気配線やメンテナンスが容易に行えるよう、適切な位置が選ばれます。

例えば、工場では生産ラインから離れた場所や、屋外に専用の受変電室が設けられることが一般的です。

次に、変圧器を使って電圧の調整を行います。

変圧器は、供給される高圧電力を、施設で使う低圧電力に変換します。

電力が適切な形で分配されるよう、回路や配線の設計が重要です。

配線や接続が確実に行われなければ、電力が正しく供給されないだけでなく、過負荷による事故の原因となることもあります。

変圧された電力は、前述した分電盤へと送られます。

分電盤は、この変圧された電力を施設内の各エリアや機器に適切に配分します。

施設内で使用される機器に応じて、動力用の200Vと電灯用の100Vがそれぞれ分けられます。

例えば、大型の業務用エアコンや工場の生産設備には200Vが供給され、一方で照明や小型機器には100Vが供給されるといった形です。

受変電設備は適切に設置されていれば、施設内の機器は長期間安定して動作し、エネルギーコストの削減にもつながります。

そのため、設置時には必ず専門の技術者と綿密な打ち合わせを行い、最適な設備が導入されるようにすることが大切です。

配線および配管工事

電灯動力設備工事において、配線や配管工事は電力を安全かつ確実に供給するために重要です。


配線とは、電力を施設内の各機器に届けるために建物内を通る電線を指します。

配管はその電線を保護し、長期間にわたって安全に電力を供給するために用いられる管です。

配線配管工事は、電力供給を安定させ、事故を未然に防ぐために不可欠です。

配線工事では、電力が無駄なく効率的に供給されるようにするために、まずどの機器がどれだけの電力を必要とするかを計算し、適切な配線ルートを設計する必要があります。

例えば、工場内で稼働する大型機械や店舗内で使用される業務用エアコンなど、さまざまな機器が同時に稼働する場合、それぞれに必要な電力が確実に供給されるよう、経路の計画が非常に重要です。

配線は、配管と組み合わせて行うことで安全性を確保します。

電線は外部からの衝撃や湿気、劣化などにさらされると、短絡(ショート)や火災のリスクが生じます。

そこで、配管が電線を保護し、これらのリスクを軽減します。

特に工場や商業施設では、電線が複雑な経路をたどるため、配管による保護が不可欠です。

配管は電線を覆うだけでなく、施設内の動線や設置環境に応じて適切な素材や形状が選ばれます。

防水性が求められる場所では防水仕様の配管が使われますし、耐熱性が必要な場所では、耐熱性の高い素材が選ばれます。

さらに、配線工事では、使用する電線の種類や太さも大きなポイントです。

電線は、供給する電力の量に応じて太さが決まります。大

きな電力を必要とする機器には、より太い電線が必要です。

これにより、過負荷や電力不足を防ぎ、機器が正常に動作するようにします。

電線の種類も環境に応じて選ばれます。

例えば、屋外や湿気が多い場所では、耐久性が高く、腐食しにくい電線が使われます。

配線や配管工事は、電力供給の基盤となる部分であり、その質によって設備全体の信頼性が左右されます。

正確な設計と施工が行われることで、施設全体が安全かつ効率的に稼働し、将来的なトラブルも防止されます。

配線作業は「電気工事士」の資格が必要です。

これは電気工事士法第3条第1項及び第2項に規定されています。

違反した場合、3ヶ月以下の懲役または3万円以下の罰金が課せられます。

一般家庭には100〜200Vの電流が流れています。

電流は取り扱いによっては感電や火事などの命に関わる危険性があります。

知識がないまま配線に触れるのは大変危険です。

そのため法律で専門の資格を持った電気工事士が行うことが定められています。

参考情報|経済産業省 電気工事士法(昭和35年8月1日法律第139号)の逐条解説 (令和5年11月版)

https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/koujisichikujyou.pdf

参考情報|電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第14条  

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000139

改修工事の重要性

電灯動力設備の見直しを行う際には、必要な改修工事を行うことが欠かせません。

特に店舗の拡張や新しい機器の導入、エネルギー効率の向上を目指した設備の更新が行われる場合、電力供給の状況が大きく変わるため、それに対応した改修工事が必要になります。

改修工事のは、既存の配線や配管の状況を見直すことから始まります。

改修時には、新しい機器が追加されることが多いです。

これに対応するために既存の配線や配管を再設計する必要が生じる場合も少なくありません。

例えば、エアコンや照明が増設される場合、それに伴って新たな電源ルートが必要となります。

そのため、配線の見直しや追加工事が行われます。

配線や配管が劣化している場合、放置するとトラブルの原因になるため、改修工事のタイミングで新しいものに交換することをおすすめします。

また、改修工事では、分電盤の容量確認や必要に応じた容量アップも検討すると良いでしょう。

改修に伴い、電力消費が増加する場合、分電盤がその増加に対応できるか確認する必要があります。

分電盤の容量が不足していると、過負荷によるブレーカーの作動や、電力供給が不安定になる可能性があります。

そのため、新しい機器やシステムに対応できるよう、分電盤のアップグレードや回路の増設が行われます。

さらに、古い電気設備の交換も改修工事の一環として行われます。

例えば、古い配線やブレーカーは、経年劣化により絶縁不良や接触不良を引き起こし、火災や機器の故障につながるリスクがあります。

これらの設備は、見た目では劣化がわかりにくいため、定期的な点検と更新が必要です。

特に、10年以上経過している設備は、信頼性が低下している可能性があるため、改修時に新しいものに交換することが推奨されます。

さらに改修時には、新しいレイアウトに合わせた電力供給ルートの再設計も不可欠です。

例えば、店舗の拡張によりエリアが広がった場合、そのエリアに適切な照明やコンセントを配置するため、電源供給ルートを再設計します。

見直しと再設計を行うことによって店舗全体で電力が無駄なく使われ、エネルギー効率の向上が期待されます。

新たなエアコンや照明が追加される場合も、適切な電源供給を確保するため、既存の配線ルートを見直し、新しいルートを追加することが多いです。

適切な改修を行うことで、長期的なエネルギーコストの削減や設備の安定稼働が実現します。

改修工事を行う際には、電気設備の改修も視野に入れ、将来のニーズに合わせた計画を立てることが大切です。

電灯動力設備工事の流れ

電灯動力設備工事は、いくつかの段階に分かれて進められます。

業者によって異なりますが、大枠的には現地調査から見積もり、工事計画の立案、実際の工事、そして工事後の点検とメンテナンスと進みます。

電灯動力設備工事を検討する際の参考にしてみてください。

現地調査と見積もり

現地調査は、は電灯動力設備工事に関して欠かせません。

現地調査では、工事を行う場所の電力供給状況や、設置する機器の種類、施設のレイアウト、さらに既存の電気設備の状態を詳細に確認します。

たとえば、どのエリアにどのような電灯や動力設備が必要か、使用する機器ごとの電力消費量、そして配線ルートをどのように設計するかといった点が詳しくチェックされます。

施設の電力ニーズの確認


設置される機器ごとの電力消費量を正確に把握します。

これにより、必要な電力の供給が確保され、過負荷によるトラブルを防ぐことができます。

たとえば、飲食店であれば、業務用エアコンや厨房機器、大型冷蔵庫の電力消費量を計算し、それらが同時に稼働しても問題ないように設計します。

設置場所のレイアウトと環境条件


機器の設置場所だけでなく、施設全体のレイアウトも重要です。

どのエリアに電灯設備を配置し、どこに動力設備を導入するかを決定します。

さらに、設置場所の環境条件(湿度、温度、アクセスのしやすさなど)も考慮されます。

これにより、配線や配管のルートが無理なく設計され、長期的に安定した電力供給が可能となります。

既存設備の状況の確認


既存の分電盤や配線、配管が新しい機器やシステムに対応できるかも確認されます。

古い設備がそのまま使われると、トラブルの原因になることがあるため、必要に応じて改修や交換が計画されます。

この現地調査の結果をもとに、工事にかかる費用や工期の見積もりが行われます。

見積もりには、以下の項目が含まれることが一般的です。

  • 材料費: 電線、配管、分電盤、ブレーカーなど、工事で使用する機器や資材の費用です。
  • 工事費: 実際の作業にかかる人件費や、工事に必要な機材の使用料です。作業内容や工事の規模に応じて異なります。
  • 点検・メンテナンス費用: 工事後の定期点検やメンテナンスにかかる費用です。これには、電気設備が正常に稼働し続けるための予防保守や、機器の調整が含まれます。

見積もりの段階では、お客様の希望や予算に応じた調整が行われることが多く、業者とお客様でしっかりと話し合い進めていきましょう。

見積もりの時点でわからないことがあったら業者に確認することをおすすめします。

見積もりが確定したら、次のステップである工事計画の立案に進みます。

現地調査と見積もりの段階でしっかりとした準備ができていれば、後の工事がスムーズに進みやすくなります

また、この段階でトラブルの発生リスクを事前に洗い出し、適切な対策を講じておくことで、納得した工事を進めることができることでしょう。

工事計画の立案

見積もりが確定した後、工事がどのように進行するかを具体的に計画します。

設置する機器の種類や配置、配線や配管のルート、電力供給の方法、そして工事のスケジュールなどが明確になります。

店舗や工場のリニューアルではこの工事計画は、営業をいつ再開できるかを明確にするうえでも大切です。

まず、工事計画では、どのタイミングでどの作業を行うか、具体的なスケジュールが策定されます。

たとえば、分電盤や受変電設備の設置を先に行い、その後に配線工事、最後に機器の設置や試運転を行うという流れが一般的です。

特に、大規模な施設や店舗では、電気工事だけでなく、内装工事や空調設備の設置など、複数の業者が同時に作業を行うことが一般的です。

そのため、各業者との綿密な調整が不可欠です。

たとえば、電灯設備の配線を行う際、同じタイミングで内装工事が行われていると、配線ルートに影響が出る可能性があります。

こうした干渉を避けるために、各工程の順序とタイミングを細かく調整し、スムーズに作業が進むようにします。

工事計画には、設置する機器の種類や配置も詳細に含まれます。

どこに照明を設置し、どのエリアに動力設備が必要か、各機器が最も効率的に配置されるように計画します。

また、配線や配管のルートも計画され、電力供給が安定し、設備が安全に稼働するように設計されます。

この際、電力供給のバランスや過負荷のリスクを考慮し、最適なルートが選定されます。

さらに、工事計画では、安全対策が重要な要素として考慮されます。

工事中の事故を防ぐため、作業区域の安全確保や作業者間での明確な役割分担が行われます。

たとえば、高所作業が伴う場合には、安全装備の準備や危険エリアの設定が行われます。

また、電気工事では感電や火災のリスクもあるため、事前に安全手順が共有されることが必要不可欠です。

計画には、トラブル発生時の対応方法も含まれているとより安心です。

たとえば、機器が予定通りに設置できなかった場合や、配線ルートが予期せぬ障害物により変更を余儀なくされた場合の代替案が準備されていると安心ですよね。

また、工事が順調に進行しているかどうかを確認するために、進捗管理も計画の一環として行われます。

定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて計画を調整することで、無駄なく工事を完了させることができます。

工事の実施(設置・配線・試運転)

工事計画が固まったら、いよいよ実際の工事がスタートします。
この段階では、分電盤や受変電設備の設置から始まり、その後、施設内の各エリアに電力を供給するための配線や配管の工事が行われます。

電灯と動力の電線は、それぞれ用途に応じて適切にルートが設計され、安全性を考慮しながら配置されます。

まず、分電盤や受変電設備の設置が行われます。

次に、各エリアへの配線や配管が行われます。配線は、電力が無駄なく供給されるよう、事前に計画されたルートに従って敷設されます。

電灯用の配線は、主に照明やコンセントに供給される電力を扱い、動力用の配線は、大型の機器や業務用設備に供給される電力を扱います。

配管は、電線を保護し、外部からの影響(湿気や物理的な損傷)を防ぐために設置されます。

配線や配管は、安全基準に従い、耐久性や防火性を考慮した設計が行われます。

配線と配管が完了した後は、各機器の設置が行われます。

たとえば、照明設備、コンセント、業務用エアコン、換気設備などが設置されます。

これらの機器は、事前に設計された場所に正確に取り付けられ、分電盤や受変電設備と適切に接続されます。

配線と機器の接続は、電力が途切れなく供給されるように、正確で確実に行われることが求められます。

設置作業がすべて完了したら、「試運転」が行われます。

試運転では、各機器が正常に動作しているか、電力供給が安定しているかを確認します。

試運転で特に重要なのが、電圧や電流が計画通りに供給されているかの確認です。

電圧や電流が過不足なく供給されているかをチェックし、もし異常があれば、その場で配線や機器の調整が行われます。。

さらに、施設全体が安全に運営できる状態に整えるため、ブレーカーや安全装置が適切に作動するかをチェックします。

ブレーカーが過負荷や短絡(ショート)に対して正しく作動するか、各回路が適切に分かれているかを確認し、万が一の事態にも対応できるようにするためです。

最後に、すべての試運転が終了したら、工事完了の最終確認が行われます。

設置された機器が問題なく稼働しているか、電力供給が安定しているか、そして施設全体が安全に運用できる状態にあるかが確認されます。

工事後の点検とメンテナンス

工事が完了した後も、電灯動力設備の安定運用を保つためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
電気設備は長期間にわたって使用されるます。

そのため、経年劣化や環境の変化によるトラブルを防ぐために、計画的なメンテナンスが必要です。

設備の不具合は、電力供給の不安定や機器の故障、さらには重大な事故の原因となる可能性があるため、早期に異常を発見し対処することが重要です。

定期点検では、まず配線の絶縁状態がチェックされます。

電線の絶縁が劣化すると、漏電やショート(短絡)が発生し、火災や機器の故障につながるリスクがあります。

湿度の高い場所や、温度変化が大きい環境では、絶縁材が早期に劣化する可能性が高いと言われています。

また、分電盤の動作確認も欠かせません。

各回路が正常に機能しているか、ブレーカーが過負荷や異常電流に対して正しく作動するかが確認されます。

特に、動力設備を使用している施設では、定期的なメンテナンスがさらに重要です。

動力設備は、大量の電力を効率的に供給するため、常に高い負荷がかかる状況で稼働します。

動力機器が正しく稼働しているか、配線や分電盤が過負荷に耐えられる状態であるかを定期的に確認し、必要に応じて調整や交換を行います。

動力設備が不安定な状態にあると、機器の故障だけでなく、施設全体の運営に支障をきたすことがあります。

メンテナンスには、専門業者による定期的な点検が含まれることが多く、保守契約を結んでおくことで、予防保守とトラブル対応が一体となったサポートを受けることができます。

保守契約には、定期点検のほか、緊急時の対応や消耗品の交換が含まれることが一般的です。

事前に電気業者に確認しておくことをおすすめします。

さらに、メンテナンスによって設備の寿命を延ばすことも可能です。

定期的に点検し、劣化した部分を早期に修理することで、電灯動力設備が長期にわたり安定して稼働し続けます。

設備が劣化する前に対策を講じることで、長期的には運用コストの削減にもつながります。

また、エネルギー効率が低下している場合も、調整や更新により改善が図られ、電気代の節約にも寄与します。

このように、工事後の点検とメンテナンスは、電灯動力設備の信頼性を高め、安全かつ効率的に運用するために不可欠です。

継続的なサポートを受けることで、トラブルのリスクを低減し、施設全体の安定運営を実現しましょう。

電灯設備工事業者の選び方

電灯動力設備工事を成功させるためには適切な工事業者の選定が非常に重要です。

ここでは、業者選定の際に重視すべきポイント、見積もりを比較する際の注意点、そしてアフターサポートやメンテナンスの重要性について詳しく解説します。

電灯動力設備工事においては、長期的な視点で信頼できる業者を選ぶことが、安定した設備運用につながります。

電灯設備工事業者選定のポイント

電灯動力設備工事業者を選ぶ際に、まず確認したいのが「実績」です。

実績のある業者は、さまざまな種類の施設や規模に対応してきた経験があり、技術力や問題解決能力が備わっています。

たとえば、商業施設や工場での大規模な電気工事の実績がある業者は、複雑な配線や動力設備の導入にも柔軟に対応できます。

また、業者がこれまでに手掛けた施工実績を参考にすることで、自分の施設に適した工事ができるかどうかを判断する材料にもなります。

「信頼性」も重要です。

信頼できる業者は、工事の品質だけでなく、工期を守ることや、適切なコミュニケーションを通じてお客様との信頼関係を築くことを重視している傾向があります。

工事中のトラブル対応や、計画外の変更に対しても誠実に対応する業者を選ぶことで、安心して工事を任せることができます。

信頼性を確認するためには、過去のお客様のレビューや、担当者との打ち合わせでの対応をしっかり確認すると良いでしょう。

また、業者の「対応力」も業者選定の重要なポイントです。

対応力とは、工事の進行中に発生するさまざまな状況に迅速かつ柔軟に対応できる力のことです。例えば、工事中に予期せぬ問題が発生した場合、即座に代替案を提案できる業者は、工事をスムーズに進めることができます。

さらに、他の業者との協力が必要な場面でも、円滑にコミュニケーションを取りながら対応できる業者は、トラブルを最小限に抑えることができます。

電灯設備工事業者の見積もり比較のポイント

工事業者を選ぶ際には、複数の業者から見積もりを取って比較することが重要です。

見積もりを比較する際には、ただ単に費用だけを見るのではなく、工期や対応内容も含めて総合的に判断する必要があります。

まず「費用」の比較ですが、単に安い業者を選ぶと、結果的にトラブルが増えたり、追加費用が発生したりするリスクがあります。

見積もりには、工事に必要なすべての費用が含まれているか、後から追加費用が発生しないかを確認しましょう。

たとえば、材料費、工事費、設置機器の費用、そして工事後の点検やメンテナンス費用が含まれているかを確認します。

次に「工期」の比較です。工期が短すぎると、作業が雑になったり、必要な工程が省かれたりするリスクが伴う可能性もあります。

逆に、工期が長すぎると、他の作業や開業計画、再開計画などに影響が出ることもあります。

適切な工期は、施設の規模や工事の内容によって異なりますが、業者がどのような根拠で工期を設定しているかを確認することが大切です。

打ち合わせの際には、工事がどのように進むのか、具体的なスケジュールを提示してもらうと安心です。

また「対応内容」も見積もり比較の重要なポイントです。同じ費用であっても、業者によって対応内容には差があります。

たとえば、追加工事が発生した場合の対応や、工事中のトラブル対応が含まれているか、工事後のサポートが充実しているかを確認します。

業者によっては、工事後の点検やメンテナンスが別途費用となる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。

アフターサポートとメンテナンス

電灯動力設備工事が完了した後も、アフターサポートとメンテナンスは長期的に設備を安定運用するために欠かせません。

設備が正常に稼働していても、定期的な点検やメンテナンスを怠ると、経年劣化や不具合が発生する可能性が高くなります。

そのため、工事業者を選ぶ際には、アフターサポートがどれだけ充実しているかも重視する必要があります。

アフターサポートには、工事後の点検やメンテナンス、さらには緊急時の対応が含まれます。

たとえば、設備の不具合やトラブルが発生した際に、迅速に対応してくれる業者は信頼できます。また、定期点検を行い、早期に問題を発見し修理することで、

大規模な故障や設備全体のダウンを防ぐことができます。

保守契約を結ぶことで、定期点検や緊急対応がスムーズに行われるため、施設の運用が安定します。

電灯設備工事のまとめ

いかがでしたか?
電灯動力設備工事は、商業施設や工場、オフィスビルなどで必要とされる、電力供給を安定させるための工事です。

家庭の電灯設備と異なり、大規模な動力設備を伴う工事には専門知識と高度な技術が求められます。

そのため、こうした工事は、電気工事士の資格を持った専門業者に依頼することが重要です。

動力設備は、大型の業務用機器や空調設備など、強力な電力を必要とする機器に欠かせないもので、正しく設置されていないとトラブルや事故につながる可能性があります。

電灯動力設備の工事には、細かな配線設計や安全対策が欠かせないため、無資格者が工事を行うと法的なリスクも伴います。

特に、オフィスビルや工場などの施設で電灯動力設備に不具合が生じた場合は、自己判断で修理や改修を行わず、専門業者に相談することが必要です。

適切なメンテナンスと定期点検を行うことで、電力供給が安定し、施設全体の運営がスムーズに行えます。

また、近年では省エネ性能が高く、運用コストの削減が期待できる新しい設備も多数登場しています。

こうした新しい技術を取り入れることで、施設全体の効率を向上させることができます。

施設の運営や拡張に伴い、電灯動力設備の見直しを行ってみることもおすすめです。

電力設備は施設の心臓部ともいえる存在です。

安全で効率的な電力供給を確保し、快適な環境を維持していきましょう。

半世紀の歴史!
福岡県行橋市の電気会社
林田電気工業

電気に関するお悩みは
お気軽にご相談ください

専任のスタッフがお客様のご不明な点にお答えいたします。お困りでしたらお電話またはお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

受付:月〜金 10:00〜17:00 土日祝日 定休日